昔の友人が、65歳以上のコロナワクチン接種率で山形県が1位だという。
調べてみると、9月3日時点で2回接種した人が91.96%と、たしかに日本一だ。友人は「まじめな県民性のあらわれだ」というが、どうなんだろう。
自治体も医療機関も精一杯がんばっているのだろうが、グラフを見ると、都会を抱える地域より田舎の方が接種率は高い傾向にあるようだ。
日本全国で重症者の多い30代から50代への接種が早く進むよう期待する。
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菅首相、引き際も醜かった。
退陣表明から一夜明け、新聞記事から共鳴する文章をいくつか、記録として残しておく。
《こんな落ち目のリーダーのもとで衆院選に突入すれば、自分たちの当選が危うい。そう考える議員らが総裁選を前に、新たな「選挙の顔」を求め始めた。(略)
忘れてはいけないのは、わずか1年前にこの党(自民党)は圧倒的多数で菅氏を選んだことだ。ろくに政策論議もせずに。「製造物責任」という言葉がある。菅政権を生み出した者として、維持補修そして改良の責任が議員一人ひとりにあるはずだ。しかし日本学術会議への人事介入にも、東京五輪の開催強行にも、表だってモノを言う人はいなかった。》(朝日、天声人語)
《総裁選の立候補見送りを表明した自民党臨時役員会から4時間余り、首相は政府の経済財政諮問会議でこうあいさつした。「感染対策と社会経済活動の再開を両立させる道筋を早期に示してまいります」。昨年9月16日の就任会見での言い回しとほぼ同じだった。》
《1年ほどの「短期政権」に終わることになり、中長期的な課題の多くも積み残された。自ら掲げた2050年までに脱炭素化を果たすという目標も、再生可能エネルギーの大量導入をどう進めるかなど、実現への道筋は全く見えていない。》(同朝刊3面)
《伊藤博文以来、99代目の日本の首相でしたが、これほど無残な退陣劇はちょっと思い出せません。(略)
大事なことは「やっぱり菅さんでは無理だったね」とか「政治家が小粒になったね」といった政治家個人の問題で終わらせてはいけないということです。(略)
厳しい言い方ですが、この1年、日本は首相が空席だったようなものです。世界的なパンデミックの中、本来は国民と危機感を共有し、メッセージを発することが指導者に求められるはずです。それが、首相の発言や行動がまったく重んじられなくなってしまっています。次の首相が誰になるにせよ、まず、この危機の時代を乗り切るための首相への信頼を取り戻すことが求められています。》(政治学者、御厨(みくりや)貴氏、朝日13面)
《頭に浮かんだのは、「策士、策におぼれる」ということですね。菅さんは人事を握ることで政治を動かしてきた。今回も、党の役員人事や内閣改造で局面を打開しようとしたけれど、うまくいかなかった。一番得意なはずの人事で行き詰ったんじゃないかと思います。》(ジャーナリスト、江川紹子氏、朝日13面)
《一連の騒動は、菅首相個人の問題というより、政権交代がない前提で組み立てられた自民党の仕組みに起因する。総選挙と総裁選の日程が重なって混乱したのも、党総裁選の前に党役員人事をやる発想も、とにかく末期的というほかない。
自民党は野党だった2009年から10年ぐらいまでは自己革新を進めたが、すぐに政権に復帰したため、55年体制の仕組みから脱皮できなかった。(略)
今度の総裁選では党の刷新力が問われるが、もう手遅れかもしれない。》(学習院大学教授、野中尚人、読売朝刊11面)
『人事刷新』
自分を、でしたか―国民 (須賀川・カール、「かたえくぼ」より)
初めてだ国民のために働いた (神奈川県 安藤隆喜)
残念と言いつつ安堵する自民 (埼玉県 恵村純一郎)
風止まり戸惑っている風見鶏 (大阪府 佐藤隆治)―以上、朝日川柳より
というわけで、きょうのGLIM SPANKYは「ストーリーの先に」。
♪ウソばっかりのストーリーがまるで
正しいようなふりしてはびこるよ