香港民主派区議が大量辞職

 日中、東京は33℃までいっ。そんな暑さのなか、午後2時半から畑で草むしりして汗だくになった。5時近く、涼しい風を体に受け、思わず「ああ、いい風だ」とつぶやく。子どもの頃の夏休みがよみがえる。

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5月下旬摘花したピーマン。小ぶりだが収穫した

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このインゲンは「成蔵(なりくら)」という種類だそうで、巨大になる

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夕方見た立体的な造形の雲。美しい

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 7月1日の中国共産党創立100周年の祝賀式典の映像はすごいものだった。あれ、北朝鮮かな、と思うほど似通っていた。習近平主席はかつての毛沢東のように灰色の人民服を着て現れ、熱狂的な歓声を浴びた。

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天安門広場に集まった大群衆

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その数7万人

 いま中国では人民の「愛国化」が進む。とくに若者の新入党員が増えていて、党員9500万人のうち35歳以下が4分の1を占めるという。NHKの「クロ現」ではいま気鋭の中国ウォッチャー、ルポライラーの安田峰俊さんをゲストに中国の若者の動向を取り上げていた。
 興味深かったのが、アメリカなどへの留学組が続々と中国に帰り、体制側の人材として祖国の発展に貢献したいと思っていることだ。

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アメリカに留学して帰国した人。素直に「愛国的」になっている

 留学生の中にはそのままアメリカなどの留学先に生活の拠点を移す人が多かった。
 2006年の帰国率はわずか31%だったのが、2019年には82%に増えている。
 1989年の天安門事件のあと、
 2008年、北京オリンピック
 2010年、GDPで日本を抜いて世界2位に
 2013年、習近平国家主席就任
 2020年、新型コロナ“封じ込め”宣言と「成功」を積み上げ、経済も右肩上がりの過程に今の若者は育ってきている。2050年にはほぼ確実にアメリカを抜いてGDP世界一になるはずだ。

 留学組の若者の目からも、中国は明らかに成功していると見え、それは政治体制も優れていることを証明すると言う。

 安田さんによると、政治に口を出さない限り、文化面も遊びも自由で、若者たちは抑圧されている感を持たないという。

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中国は自由だというアメリカ留学経験者

 取材を受けた若者たちの表情は明るく、屈託がない。

 番組が最後に、中国の落とし穴として挙げた不確定要素は、膨大な数の負け組の若者たちの存在と少子高齢化のスピードの速さだ。ただ不満が表面化しないように共産党はコントロールを強めるだろうから、すぐにほころびが出てくるとは思えない。

 一方、香港の若者は―
 中国共産党および香港政府の民主派への抑圧はさらに強化され、合法的に動ける空間がますます小さくなっている。議会への立候補者の資格を審査する制度が正式に導入された。また、政治家だけでなく公務員はみな「愛国者」でなければならないとされ、政府と基本法に忠誠を誓うことを求められる。17万余りのずべての公務員に、そして区議会議員にも宣誓が義務づけられた。宣誓に反する行為とみなされれば、議員資格がはく奪され、刑事罰が科せられる可能性がある。

 一昨年の区議選では民主派の地滑り的勝利で8割超の議席を得たが、ここにきて民主派の議員たちが岐路に立たされている。

 宣誓をすることは裏切りになるとして辞職するものがいる一方で、議会に残り何ができるか模索するとして宣誓もやむなしとする議員もいる。

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辞職を決めた区議

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区議を辞めない選択をする人も(NHKより)


 そしてきょうのニュースでは、民主派区議の大量辞職が報じられている。ちょっと長いが、今後を左右する出来事なので記事を引用する。

 《香港の地方議会に当たる区議会議員(479議席)のうち、10日までの4日間で少なくとも150人以上が一斉に辞職を表明した。香港メディアが報じた。政府が「愛国的」と認めなければ議員資格を剝奪(はくだつ)する制度改変などで民主派を議会から実質的に排除しようとしており、すでに民意で選ばれた半数以上の民主派議員が「踏み絵」のような手法で議会を追われる異例の事態になっている

 区議会は、事件の容疑者を中国に移送できる逃亡犯条例改正案に反対するデモが相次いだ2019年の11月にあった選挙で、民主派が全議席の8割以上にあたる388議席を獲得した。しかし昨年6月末に反体制的な動きを取り締まる香港国家安全維持法(国安法)が施行。香港政府は区議会の制度改変に着手し、区議に政府への忠誠を宣誓させ「非愛国」とみなせば資格を剝奪できる条例改正案を今年5月に成立させた。

 政府は改正条例に沿って、7月中に区議へ宣誓を求めるとの方針を表明。これを受けて香港紙明報の集計では、10日までの4日間で少なくとも153人の区議が辞職を表明した。各区議会の主席や副主席も含まれる。辞職を表明した区議が160人を超えたとするメディアもある。

 6月末までに宣誓義務化に反対するなどの理由で、44人が辞職または議員資格を剝奪されており、辞職する民主派の区議は約200人に上っている。19年の区議選で当選した民主派議員の半数以上がすでに辞職を表明する異常事態となった。

 民主派でもあえて宣誓することで議会に残ろうとする区議もいる。しかし香港メディアによると民主派区議約230人は、かりに宣誓しても「条例の要求を満たしていない」として資格が剝奪されるとみられており、今後さらに辞職する議員が増える可能性がある。

 区議会での勝利から立法会での勝利へ、と民主派が描いた革命の構想はついえた。一昨年のあの勝利の熱気がうそのようだ。
 
 そんななかでも、民主化をあきらめるなと訴える若者をNHK国際報道が特集していた。

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街頭演説する羅子維さん(NHKより)

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一昨年の運動を振り返る展示会を開いた

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学生会で活動していたのだが・・

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辞職に追い込まれた

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それでも闘い続けるというのだが・・







 まさに「蟷螂(とうろう)の斧」。彼らには、我々日本を含む海外の民主国家からの連帯が必要だ。