緊急事態宣言の延長が決まり、菅首相が会見した。
具体的で効果的なコロナ対策を打ち出さない以上、延長になるのは分かりきっていた。首相の言葉には、あいかわらず中身がないが、これにだんだん慣れっこになっていくのが怖い。
五輪開催まで2カ月を切った段階で、開催都市の東京都でさえ、開催反対の声が強い。「中止するべきだ」が6割で、「観客を制限して開催」「無観客で開催」の2倍に上った。菅首相、現実をしっかりみてほしい。
そんななか、うれしい話題。
日本最大級の縄文集落跡で知られる三内丸山遺跡(青森市)など17の遺跡で構成される「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田各県)について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)が世界文化遺産への登録を勧告した。
縄文人遺(のこ)したつもりないけれど(神奈川県 河村芳郎)朝日川柳より
縄文は、狩猟採集生活で長期に定住したひじょうにユニークな文化だ。私も関心があり、縄文文化の展示があるとなるべく見に行くようにしているが、あの種の土器は世界的にも珍しい。去年は青森の三内丸山遺跡を見学し堪能した。
実際に縄文人の暮らしていた場所をみると、われらのご先祖を身近に感じ、その知恵に尊敬の念を覚える。
縄文時代、日本列島に住んでいたのピーク時でも26万人。そこから、いまの日本の人口1億2000万人へと増えてきた。ということは、私たちはみな非常に近い親戚であるに違いない。
そもそもがアフリカ大陸に共通の祖先をもち、ユーラシア大陸の東端まで来る間にさまざまに交雑し、日本列島に3つのルートで入ってきたあとも、互いに交わり、弥生時代以降も、また別な移民の波がやってきて・・・とまじりあい続けて今にいたる。「純粋な日本人」などというものはいない。さまざまな事情で日本列島に住むようになった近い親戚同士が私たちだ。
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今朝の朝刊に、「ルワンダ虐殺『責任』認める―仏大統領」の見出しの小さい記事が載った。
《フランスのマクロン大統領は27日、アフリカのルワンダを訪問し、同国で80万人以上が殺害された27年前(1994年)の虐殺について、「フランスはジェノサイド(集団殺害)を実行した体制側にいた」と述べ、フランスに責任があると正式に認めた。
フランスは、少数派民族ツチの住民らを殺害した多数派民族フツの政府軍を、90年代に政治的・軍事的に支えていた。マクロン氏は首都キガリの虐殺記念館で演説し、「歴史を正面から見つめなければならない。フランスは責任を負っていた」と述べた》(朝日新聞)
この問題にはフランスの歴代政権が触りたくないと避けてきたが、マクロン氏が調査を命じ、1990年にフランスが部隊を派遣して以降、虐殺までの4年間8千の機密文書が分析された。
その結果できた分厚い調査報告書は、フランスが「事件前にルワンダ政府を支援したことで、政権内のフツ過激派に力を与え」、「(現地に派遣していた)フランス軍の介入が遅れたことで多くの犠牲者を救えなかった」と指摘。
「フランス政府が虐殺の兆候や事態の深刻化から目を背け政権を支援し続けた」として、フランスには「圧倒的に重い責任がある」と結論づけた。
報告書作成にあたったバンサン・デュクレール氏。
「フランスは4年間にわたり、ルワンダの政府と軍を支援してきた。だから即座にルワンダ軍を“敵”とみなすことができなかった。これまでは、さまざまな“圧力”によって真実の追求が妨げられてきた。状況を打開したのが、マクロン大統領で、“真実を知るべきだ”と決断した」と語る。
フランスが過去の誤りに目を向け、堂々と責任を認めたことに感銘を受けた。歴史的な文書をしっかり保存し、後世に遺すことの重要性も教えられる。
こういう文明国のイロハを日本はあらためて学ばなければならない。