きのう3日が立春だった。
きょうは関東で、春一番が観測史上最も早く吹いたというが、全く気がつかなかった。まだ寒さはきびしいが、日は少しづつ長くなってきている。
駅前の八百屋に、福島のフキノトウ、山形のウルイやタラの芽が並んでいた。ハウス栽培のものだろうが、それでも春が近いと感じさせる。
ロウバイが咲いている。
通りかかった高齢の女性が立ち止まってじっと見ている。
「寒いけど、花に慰められますね」と話しかけ、一緒にながめた。
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先日紹介した、茨城県牛久市の東日本入国管理センターの施設を自身の糞尿で汚したとして起訴されたイラン国籍の男性の第一回公判があったのだ。
午後2時半からの公判はコロナ対策で定数の半数の9人しか傍聴ができず、抽選になった。幸運にも私は中に入れたが、マスコミで報じられたこともあり、傍聴希望者が多かった。
被告人はヤドラ・イマニ・ママガニさん(54)で、在留資格がないとして2016年7月から牛久入管に収容されていた。去年春から、牛久入管ではコロナ対策で仮放免(一時解放の措置)を進め、300人以上いた被収容者がおよそ100人まで減ったが、ママガニさんは対象外で収容が続いていた。
起訴状では、医務室そばのトイレに入り、隠し持ったビニール袋に自らの糞尿を入れそれに水をまぜ、トイレから出てそれをまいて壁や天井を汚した建造物損壊罪とされた。
マガニさんは、起訴内容については異議を申し立てなかった。
被収容者に毎週面会して支援している「牛久入管収容所問題を考える会」(牛久の会)の田中喜美子さんが情状の証人に立った。田中さんはママガニさんとの面会を続けていて事情をよく知っている。
田中さんによると、いま仮放免されない被収容者のなかでは、収容が理由なく続いていることのほか、とくに医療関係者から非人道的な対応をされていることへの不信、不満が募っているという。
ママガニさんは手紙でも訴えてきており、7月ごろから憔悴した様子がはっきりしてきたので、田中さんはなるべくひんぱんに面会するようにつとめていたという。
田中さんによれば、他の被収容者のあいだでも、担当医と准看護師が、症状を訴えてもろくに診ない、薬を突然取り上げたりする、お前の運命は俺たちが握っているなどの暴言で脅迫したりむりやり口を手でこじあけたりして、ストレスが募っているという。
医療にかかわる不満が募っていることは私自身が聞いている。
きのう午前中は牛久の被収容者に面会してきたのだが、ある中東出身の男性(3年半近く収容されている)は心臓が悪く、外の病院(牛久愛和総合病院)の専門医から「ニトロペン舌下錠」を処方された。ところが入管の医師が「必要ない」と薬を出してくれないという。
彼は面会室のアクリル板ごしに、私に3枚の書類を見せてくれた。
1枚目は9月16日付けの処方で「ニトロペン舌下錠」に入管の医師がつけた大きな赤いバッテンがある。「処方しない」というわけだ。
そこで彼は外の病院の医師に訴えた。すると医師は「ニトロペン舌下錠」が必要だとする病院の書類を出してくれた。日付は10月2日。
それを入管の医師に見せたところ、10月21日の処方に「ニトロペン舌下錠」に再び大きな赤いバッテンがついてきた。結局、「ニトロペン舌下錠」は処方されなかったのだ。入管内の被収容者の医療はそうとうに問題がありそうだ。
1月24日のブログに紹介したママガニさんの手紙は、田中さんに宛てたものだが、漢字も正確に使った文章で窮状を訴えている。
「精神的にも肉体的にも色々追い詰められて、毎日辛いです」
「ここの内で不正を行なっていることを警察署に訴えたいです」
田中さんによれば、実は、牛久の入管では、被収容者が自分の排泄物を壁に塗るという事件はこれまで何度も起きていた。それほど、被収容者が精神のバランスを崩しているということだ。
これまでは、そういう事件を起こした被収容者は「茨城県立こころの治療センター」に送られて治療を受け、そのあとは仮放免されてきたのが、今回は刑事事件にされたわけで、入管がさらなる強硬姿勢に転じていることを示している。
田中さんは、ママガニさんは、本来とても真面目できれい好きであり、世話好きな人であり、当時は心身耗弱状態だったこと、事件のあと「大変なことをしてしまった」と悔いていたことをあげて、情状の酌量を求めた。
ママガニさんは、「解放されたら、お年寄りのためのボランティア活動をしたい」と言っているという。
今回起訴状にある「損害」およそ85万円は、支援者たちがカンパで集めたという。入管の収容制度をはじめて知って国辱ものだと驚き、ママガニさんを支援している人もいるという。
いま牛久には、7年という長期に収容されている人もいる。刑事罰としても重いが、もっと辛いのは、いつ出られるかが分からず、基準も示されないこと。
私がこれまで面会したおよそ20人の被収容者のほとんどは睡眠導入剤、精神安定剤、抗うつ剤を常用していた。ふつうの精神状態ではいられなくなるのだ。
さらに広くこの問題を知らせていかなくてはと思った。