人道にもとる日本入管の収容制度

 はじめにお知らせです。
 「焚き火のある風人塾」宇宙史の語りの第1回目「宇宙のはじまり」があさってに近づきました。ビッグバンから地球の誕生までを語ります。お聞きください。

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 朝日歌壇(24日)より

襁褓(むつき)してコロナ重症患者らを看護するとう夜勤看護師 (観音寺市 藤原俊則)

 感染予防のための防護服は着脱に手間がかかるので、看護師が自らオムツをつけて一晩中働くさまを詠ったのだという。医療現場を支える人たちの奮闘に頭が下がる。

五十年連れ添ふ夫に初めての賀状を書けり筆先ふるふ (市原市 脇坂百代)

 コロナ感染の予防で面会できない入院中の夫にはじめての年賀状を書く。その筆先が震えるという。切ない気持ちは察するにあまりある。
 
「はづせー」と言はれ一斉にマスク取り撮影すます卒業写真 (町田市 村田知子)

 卒業生のアルバム用集合写真の撮影現場だという。こんな場面を来年は見たくないものだ。

 国会でもいつもどおり木で鼻をくくったような答弁に誠意を感じさせない菅首相。自宅待機中に亡くなった人が18人も出たという医療崩壊状態に、日本の惨状は人災だということがますますはっきりしてきた。
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 日本の入管の収容制度は国際的にも批判を受ける酷いものだが、『毎日新聞』にこんな記事が載った。

《イラン国籍男性、ふん尿まいた疑いで逮捕 過酷な入管収容の末に 4年半「医師から何度も罵倒」》
 「東日本入国管理センター(茨城県牛久市、略称・牛久入管)に4年半近く収容されていたイラン国籍の男性(54)が2020年11月、自身のふん尿で牛久入管の施設を汚したとして建造物損壊罪で起訴された。長期収容で極度のストレス下にあり、「施設の医師から繰り返し嫌がらせを受けて、このままでは死んでしまう」とも訴えていた。支援者によると、同じようなことはこれまで何度も起きているという。人をそこまで追い込んでしまう入管での生活とはどんなものなのか。罪はどこまで問われるべきなのか――。男性との面会を重ね、考えた。【鵜塚健/統合デジタル取材センター】

 男性の名前はヤドラ・イマニ・ママガニ被告。県警牛久署の調べや本人の話によると、20年9月1日、牛久入管の2階にある医務室近くの待合室で、ビニール袋に入れた自身のふん尿をまき、壁や天井を汚し、44万2156円(その後増額)の被害を与えた疑いで牛久署に逮捕され、水戸地検による起訴後も牛久署の留置場で勾留されている。

 ママガニ被告は、日本での在留資格がないとして16年7月から牛久入管に収容されていた。20年春ごろから各入管は新型コロナウイルス感染拡大予防のため、徐々に被収容者の仮放免(移動制限など条件付きで一時解放する措置)を進め、「3密」解消を図っている。牛久入管でも300人程度いた被収容者が100人前後まで減ったが、ママガニ被告は対象外だった。仮放免の条件や基準を入管側は一切明らかにしていない。」(以下略)

mainichi.jp

 ママガニ被告20代のころ、1992年に来日。バブル景気の終盤で日本では人手不足が深刻化していた。当時、日本とイランの間では相互にビザが免除されており、多くのイラン人が来日し、主に建設現場などで他の外国人とともに日本経済の屋台骨を支えた。

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東日本入国管理センター(牛久入管)(高世撮影)

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支援者への手紙(毎日新聞

 在日30年近くで、日本人支援者に書いた手紙から分かるように、日本語は堪能で漢字も書ける。先の見えない長期の収容で、精神がやられる人は多く、私が牛久の施設で面会した人の多くも睡眠薬がないと寝られないといっていた。

 この収容制度の実態はあまり知られていないので、この機会にまた書いてみたい。
(つづく)