きのう久しぶりに都心に出た。
私は痛風の発作を何度もやっていて、尿酸コントロールのために定期的に赤坂のクリニックに通わなくてはならない。
そのついでに、久しぶりに吉永春子さんのお墓参りをした。「お春さん」はTBSの名物プロデューサーで、忖度しない鋭い舌鋒は恐れられもしたが、私にとっては恩人だった。
吉永さんが眠るのは、赤坂不動尊のとなりの「赤坂浄苑」という永代供養の納骨堂。駅前墓苑というだけあって、赤坂見附駅から歩いて3~4分の近さだ。
手続きしてエレベーターのドアのような扉の前でしばらく待つと、扉が静かに開いてお墓が現れる。
一人でお参りをすませた。
「死」を意識すると、なるべく志を曲げることなく生きたいものだなあと思う。
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東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言。謝罪会見を見る限り、まったく反省していないし、何が問題なのか理解していない。彼の心の中ではずっとせせら笑っている。
辞任相当だ。いや、むしろ解任だ。
今朝のワイドショーも各局、森発言をやっていて、TBSには「ロンブー」の田村淳が出ていた。
《東京オリンピックの聖火ランナーを辞退すると発表した「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さん(47)が4日、レギュラー出演するTBSテレビ「グッとラック!」でこの件について触れ、「強引に五輪をやって、誰が幸せになるんだろうと感じた」などと語った。
淳さんは、大会組織委の森喜朗会長が「人気タレントは人が集まらないところで走ったらいいんじゃないか。誰かが、田んぼで走ったら一番いいんじゃないか(と言っていた)」などと発言したことに、「農家の方に失礼だし、人を集める必要がないのであればタレントは身を引くべきだ」などと3日にユーチューブで意見を表明していた。
番組で淳さんは「僕が怒っているのは、有名人が田んぼを走ればいいということよりも、(森会長の)どんな形であっても必ず五輪をやるんだ、ということが理解できなかったので、それに参加するのは辞退したいということです」と説明。
これまでも五輪の延期を主張してきた淳さんは「何が何でもやるんだと、国民を鼓舞して、強引に五輪をやって、誰が幸せになるんだろうと感じたんで、辞退を伝えました」と話した。
番組は森会長が女性蔑視とも受け止められる発言をした件も伝え、淳さんは「僕は次の会見で、身を引くという会見にしてほしいなとは思います」「周囲の人も誰も言わないんですかね。だとしたら周囲の人もいじめを見てて何も言わない人と一緒のような構図なんですけどね」などと発言した。》https://mainichi.jp/articles/20210204/k00/00m/040/020000c
しっかり良識あるコメントをしていた。
政府は幕引きにやっきだが、辞めるまで追撃すべし。
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最近印象に残ったコロナ関連の海外ニュースから。
アメリカでは黒人の35%が新型コロナワクチンの接種に“否定的”で、白人やヒスパニックの26%よりはるかに高いという。(去年12月、カイザーファミリー財団調べ)
この医療不信は、黒人や有色人種に対する「医療実験」が繰り返されてきた歴史が関係しているという。
1930~1970年代、「梅毒に感染し、治療をしないまま放置されると、どのような経過をたどるのか」を調べるため、黒人男性600人を約40年、治療せずに「観察」を続けたそうだ。感染者は梅毒だとは知らされず、ただ“血液に問題がある”とだけ言われていた。研究所は感染者を監視するシステムを作り、感染者をどこまでも追跡し、治療を受けさせないようにした。(タスキギー大学歴史遺産博物に資料がある)
1972年、内部告発でこれが明るみに出た。しかし、政府が謝罪したのはそれから25年もあとのことだった。
実験対象になった男性が全員亡くなったが、子どもたち孫たちが記憶を受け継いでいるという。こういうセンシティブな過去の記憶があるからには、黒人が共感できる情報発信が問題だという。
「これが情報です、従ってください」では、マイノリティの人びとには通用しない。誰がどんなメッセージを送るかが重要だとされる。いま黒人の医療関係者らにネット動画に出てもらってワクチンへの不信を丁寧に解いているという。
黒人へのこれほどあからさまに不当な扱いが70年代まで続いていたとは驚きだった。私たちが思うより黒人差別は根が深いなと思った。
逆に、森喜朗発言などは欧米の人にとって大きなショックかもしれない。「日本がまだそんな差別を許しているなんて・・」と。
また、メッセージの送り方が大事だという点。そもそもメッセージを送れないリーダーを持つわが国としては、別の方法を工夫しなくては・・。
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「ノルウェーでワクチンを接種した高齢者33人が死亡」のニュースが流れた。ワクチンアレルギーの強い日本人を震えあがらせるに十分な情報だが、TBS「報道特集」がこれを冷静に扱っていた。
ノルウェーのニーハマル駐日大使がインタビューにこう答えている。
「ワクチンを接種すると、気分が悪くなり、数日微熱が出ることがある。これが弱っていた体に大きな負担になったのではないかとの見方がある。あくまでその可能性があるだけで確認されたわけではないが。
政府から、亡くなった人々がとても高齢で、非常に体力が弱っていたし、そうした人の多くは、いずれにしても毎週、数百人亡くなっているということが、かなり正確に説明されたから国民は混乱していない」
報道によると亡くなったのは75歳以上の重篤な基礎疾患を持つ人たちだったという。
忽那(くつな)賢志医師(国立国際医療研究センター)によると、ワクチン接種後、接種した部位の痛み、倦怠感、熱などの副反応は非常に強いという。6~8割の人にそういう症状が見られ、特に2回目の接種の方がそういう副反応が出やすいが、それは体内で抗体ができつつあることの証しでもあるという。
副反応が思ったより強く、また多くの人に出るようだ。
日本での接種では、このあたりは十分に広報しつつ、コロナを予防し集団免疫を作るという「効能」とのバランスを考慮に入れる必要がある。体の弱い高齢者がワクチン接種後に亡くなったからといって、パニックにならぬようにというノルウェー政府の説明も冷静な対応でよいと思う。
日本の医療行政は、かつての子宮頸がんワクチンの「副反応」騒動を見ると、ちょっと騒がれるとすぐに腰が引けたりと、ブレが激しすぎる。あくまでもエビデンスにもとづいた落ち着いた対応をしてほしい。