きょう、全国の感染者が1400人を超えた。
新規感染者は1463人で、30日の1301人を大きく上回り、過去最多となった。福岡県で過去最多の170人。大阪府ではこれまでで2番目に多い216人。東京の新規感染者は、過去最多の463人だった。
感染が急加速しても、えらい人はさすがに慌てないらしい。
愛犬とソファーでコーヒー飲んでます (千葉県 相川健三)31日
政府の無策さかげんに業を煮やした東京都医師会の尾崎治夫会長、30日の記者会見で「今が感染拡大の最後のチャンス」と声を荒げて訴えた。
尾崎会長は、「感染が集中して発生する地域が東京だけでなく、愛知や大阪など各地に形成されつつあり、今のやり方では限界がある」と述べ、医師会として唾液を使ったPCR検査を受けられる地域の医療機関を、都内で1400か所まで増やす方向で検討していることを明らかにした。また、介護施設などで集団で感染者が発生した時には、医師会が所有するPCR専用車を派遣することも明らかにした。
医師会はもともと自民党の支持基盤なのだが、ここまで来ると無能な政府に任せておくのは職業倫理が許さないということだろう。
とにかく検査と隔離。これは国際的に合意された定石だが、日本は7月28日時点で、検査数(人口当たり)で世界215カ国中159位だそうだ。マジっすか!158位は東アフリカのウガンダ、160位は南アメリカのガイアナ。
安倍首相も小池都知事も「検査を増やします!」と何度も何度も約束するのに増えない。検査を増やす方針は2月から出ているのに、いまだ発展途上国より遅れているということは、「施設が、器材が、試薬が、人材が・・」というテクニカルな問題がほんとうの障害なのではない。これは明らかではないだろうか。
いま再び、感染拡大のなか、検査をしてもらえない「検査難民」が各地で発生している。実に情けない話だ。
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏は―
「現行の感染症法では、民間の医療機関や検査会社は、厚労省、国立感染症研究所、保健所の指示がなければ検査できません。濃厚接触者以外に、医療従事者やエッセンシャルワーカー、社会的弱者を無症状でも検査できる建て付けになっていないのです。法改正が必要なのに、厚労省や国の感染症対策分科会が横やりを入れている。法改正しない限り、検査拡充は期待できません」という。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6a04ff5c2fdd4c55410b250521aea4cc5b476626?page=2
やはり、このブログで指摘した感染研、保健所などの「公衆衛生ムラ」が立ちはだかる構造的な問題があることを示唆している。
ところがこの日本にもついに、あのニューヨーク州の「誰でもいつでも何度でも」検査できる体制をつくるという自治体が出てきた。
世田谷区の保坂展人区長が、今週、いくつかのメディアで、東京大学の児玉龍彦名誉教授の提言をもとに「誰でも いつでも 何度でも」検査が受けられる「世田谷モデル」の構想を語った。
構想では、病院、介護施設、学校、美容室、スポーツジムなど人と接する業種などでは症状の有無にかかわらず定期的に検査し、陽性者はすぐ隔離・治療するという。
世田谷区は人口94万人と都内最多で、陽性者は累計で949人に上る。
(世田谷区のHPでは区の毎日の検査数と陽性者数をきちんと掲載している)
保坂展人世田谷区長は「今の感染の勢いを見ると検査数を1桁も2桁も上げないと間に合わない」と危機感を示し、1日に2千~3千人規模の検査ができる体制を作るとしている。
この構想では、もっぱら保健所の外での検査を増やす予定だ。一度に多くの検体を短時間で検査できる機器の導入もプランに入っている。
これに医師会も協力する意向を示した。
《世田谷区医師会が新型コロナウイルスの検査体制の拡充のため、1日当たり最大で1千件のPCR検査ができる検査機の導入を検討していることがわかった。すでに世田谷区や臨床検査会社と協議を始め、今秋までの運用を目指している。東京都医師会の角田徹副会長によると、医師会による大規模な検査機器の導入は珍しいという。
世田谷区医師会によると、検査機は24時間稼働でき、最短3時間ほどで結果が出るという。区医師会の検査拠点に設置し、臨床検査技師を常駐させる。
区医師会では現在、1日最大150件の検体採取をしている。採取した検体は民間の検査会社に運搬をして検査機にかけ、結果が判明するのは翌日の夕方だという。新たな検査機の導入で、翌日午前中には結果が把握できるようになる。》
https://www.asahi.com/articles/ASN7Z764TN7ZUTIL01X.html
まさに検査数を一桁増やす態勢だ。
政府が検査をどう増やすかの具体策を出さないなか、画期的な動きで、大いに期待したい。これが成功すれば他の自治体も続くだろう。
ただ、課題も多い。例えば検査費用の負担をどうするのか。個人が保険なしで全額負担すると3万円ほどかかるのだが・・。
保坂区長はフジTVの「グッデイ」でこう語っている。
保坂区長:やはりこれだけ新型コロナが広がってくると、気を付けて避けられる働き方、テレワークなどが必要なんですが、どうしても人との接触が不可避である仕事があります。例えば医療関係者や介護施設、保育士や学校の先生、こういう人たちに「社会的な検査」として、定期的にPCR検査を受けていただくと。世田谷区の中で、保育で働いている人だけでも計算してみたら1万人いるんです。
安藤優子:そんなにたくさんの人がいるんですね。この検査は全て無料で行うということでいいんでしょうか?
保坂区長:社会的な検査というのは、社会の継続のために必要な人たちの検査で、これはお金をかき集めて、負担がないようにしたいと思っております。
安藤優子:世田谷区の予算の中で、その社会的な検査を行うつもりだということですか?
保坂区長:予算の組み方については民間からの貢献も大いに頂きたいですし、寄付も含めて集めていく。もちろん区の事業であれば区の負担が必要になってきますが。今まさにプロジェクトチームを作って、その財源の捻出の仕方やルール、1人あたりどういう費用でできるのか、詳細を詰めている状態です。
この画期的な試みをぜひ成功させてほしい。応援しよう。