香港 国安法に屈しない人々2-日本で活動を続ける香港人

 きょうは澁谷に用事があった。
 寒かったがよく晴れて、空気が清々しい。1時間半散歩した。

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初台あたり。ここは玉川上水が暗渠の遊歩道になっている

 「香港国家安全維持法」(国安法)に屈しない人々の2人目。

 国安法が施行されて半年以上が経ち、次第に適用範囲を広げ、弾圧の度を増しているが、これに抗して日本でも闘い続ける人たちがいる。

 国安法は海外にいる香港人にも適用される。多くの在日香港人たちを大きな恐怖感がつつみ、言動を萎縮させている。万が一「チクられる」ことを警戒して、同胞に対してすら疑心暗鬼になる人びともいると聞く。

 そんななか、いまも抗議の声を上げ続けているのが27歳の李イトウさんだ。日本語を学びに2018年に来日。現在は東京都内の時計店で働いている。
 「海外にいる自分でも頑張って香港人のために声を出さないといけないと思った」という。
 李さんは香港の若者たちの運動に呼応して、東京の街頭での抗議行動や宣伝活動では先頭にたっている。しかも、名前も顔も出して活動しつづけている。コロナ禍のなか、国連人権理事会に出席し在日香港人を代表して訴えてきた。

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 「一番の思いは、メディア発信の位置に私が立っていたら、他の人はやらなくて済む。
(国安法は)人を怖がらせる、黙らせるのが目的で、黙ったら彼らの思惑通り。それが絶対に避けたい」と李さんは言う。
 つまり、自分が代表として表に出ることで、他の人への負担を減らし、怖がらなくてもよいようにするというのだ。
 この勇気はほんとうにすごいと思うが、問題は李さんが引き受けるリスクだ。
 李さんは国連人権理事会に、国安法の撤廃を中国政府に提言することを求めるとスピーチしている。中国共産党が、この行為を国安法違反とみなす可能性は十分にある。その場合、香港に戻ったら逮捕されるだろう。事実、先日は東大大学院に留学していた活動家が香港に戻ってすぐに逮捕されている。

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「国連人権理事会」で訴える李さん


 「最初の段階では、香港に戻れないことは頭になかったですね。
 今は、もう自由に親に会えない、自由に香港にいる友だちに会えない。それを考えるたびにショックでしかない。まだ現実ではない夢を見ている感じ」と李さん。
 気掛かりなのは香港で暮す両親のことだという。毎週のようにビデオ通話をしているが、もう香港ではあうことができないかもしれないという現実を十分に話し合えずにいる。

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 それでも李さんは、国安法に怯えて戻れなくなることをなくしていくためにも、覚悟を決めて闘い続けるという。李さんが望むのは、香港の現状を身近に感じてくれることだ。
 
 私としては、香港問題への関心を広めるとともに、李さんたち香港人が安心して日本に滞在自由に活動できるよう、日本人として応援していきたい。