大晦日、自転車で小平市の鈴木稲荷神社に行った。
境内に大きな銀杏の木があり、11月に2回ほどギンナンを分けてもらった。ギンナンがまだあるかなと思って寄ってみたのだ。
ちょうど、神社を管理している高齢の神職の夫妻が初詣の準備をしているところだった。そこに家族連れがお詣りに。初詣が元旦に集中しないよう、分散参拝している。なるほどと、私も早めにお詣りしてきた。
2020年はコロナ禍で世界中大変な年になったが、私個人としても大きな転機だった。
会社が倒産し、破産という体験をして、自分は何をしたらいいのかあらためて考える機会を得た。短い旅をいくつかしたり、畑をいじったり、映画を観たりするなかで、緊張していた心身がゆるんできた。大きなことだけ考えて生きていきたいなどとも思っている。
こういうとき、『男はつらいよ』を観ると、寅さんの生き方に共感する。
先週土曜、12月26日のBSテレ東の寅さんは、竹下景子がマドンナの『男はつらいよ 知床慕情』(1987年)だった。
北海道・知床のやもめ暮らしの老獣医(三船敏郎)は、ひょんなことから寅さんと意気投合。そこに東京から竹下景子演じる娘のりん子が結婚に失敗して帰ってくる・・と話ははじまる。
竹下景子は私と同年で大好きな女優だ。楽しく観たが、「とらや」の面々とりん子との以下のやり取りがよかった。
りん子「みんな言ってますよ。寅さんとしゃべっていると、あくせく働くのがいやになるって」
おばちゃん「そういう悪影響を他人に与えるんですよ、あの男は」
りん子「いえ、そうじゃないんです。寅さんは、人生にはもっと楽しいことがあるんじゃないかって思わせてくれる人なんですよ」
博「へえ、やさしい見方ですね」
さくら「イソップにそんな話あったじゃない」
博「どんな?」
さくら「暑い夏に汗水たらして働くのがアリで、それをバカにして歌ばっかり唄っていたキリギリスが、寒い冬になると凍えて死んでしまった話」
りん子「あら、じゃ寅さんがキリギリス?」
さくら「そう。小学校のとき、学校の先生にその話聞いてね。涙が出て仕方なかったの、お兄ちゃんのこと思い出して」
博「キリギリスか」
おばちゃん「そういえばあの男、キュウリとナスビが大好きだもんね」
一同笑う
さくら「いまごろ、くしゃみでもしてるんじゃない」
キリギリスもちゃんと生きられる世の中になればいいのに。
今年は私も動きだすつもりだが、キリギリスのように歌いながら歩いていきたいなどと夢想している。
よい年になりますように。