関心のなさが生んだ「読み飛ばし」事件

 朝から降ったりやんだりで迷ったが、晴れ間に畑に自転車で向かった。畑についたとたんザーザー降りでびしょ濡れに。そのあと日が差して蒸し暑くなる。汗だらけで草むしりと肥料やりの作業をした。

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モロヘイヤのみずみずしい緑

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トマトが豊作だ!

 きょうの収穫はトマト、モロヘイヤ、ナス(1本だけ)、枝豆(数個)、インゲン(数本)、ニラ。トマトが大量に採れたので、近所におすそ分けする。
 畑にシソがたくさん生えて雑草扱いされているが、草むしりで抜いたシソを持ち帰り、つれあいがシソジュースを作りはじめた。去年はおいしくできたが、今年はどうか。

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 節気ははや立秋。この猛烈な暑さも残暑という表現になる。
 初候「涼風至(すずかぜ、いたる)」が7日から。
 12日からが次候「寒蝉鳴(ひぐらし、なく)」。
 18日からの末候が「蒙霧升降(ふかききり、まとう)」。
 ヒグラシ、虫の音、霧、涼風と視覚、聴覚、触覚で秋の気配を探してみよう。

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生協に旬のデラウエアが並んでいた。地元の「JAおきたま」だが、ちょっと値段で手が出なかった。デラウエアはこんなに高かったっけ?

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 きのう、菅義偉首相が広島市の平和記念式典のあいさつの一部を読み飛ばした事件。ひどいな・・・。

 下線部が読み飛ばした部分。

「・・・・・広島および長崎への原爆投下から75年を迎えた昨年、私の総理就任から間もなく開催された国連総会の場で、「ヒロシマナガサキが繰り返されてはならない。この決意を胸に、日本は非核三原則を堅持しつつ、核兵器のない世界の実現に向けて力を尽くします」と世界に発信しました。我(わ)が国は、核兵器の非人道性をどの国よりもよく理解する唯一の戦争被爆国であり、「核兵器のない世界」の実現に向けた努力を着実に積み重ねていくことが重要です。近年の国際的な安全保障環境は厳しく、軍縮の進め方を巡っては、各国の立場に隔たりがあります。このような状況の下で核軍縮を進めていくためには、さまざまな場の国々の間を橋渡ししながら、現実的な取り組みを粘り強く進めていく必要があります。・・・・」

 この下線部がなければ文章にならないし、意味が全然通らない。こんなに長い、大事なところを読み飛ばして自分でおかしいと思わないのだろうか。重要な式典でのあいさつとなれば、ふつうは緊張して3回か4回は事前に読みの練習をするんじゃないのか。ノリがついてて1ページめくれなかったのが読み飛ばしの原因らしいが、単に義務として出席し、他人が書いた原稿をその場で読むだけでいいと思っていたのだろう。

 菅義偉という人物が日本の首相として失格であることをあらためて見せつけた「事件」だった。

 広島市秋葉忠利・前市長は、安倍首相のときから、広島も長崎もほぼ同文のコピペあいさつになっていたことにも触れながら、こう批判した。

「読み飛ばすかそうでないか、の問題ではなく、重要なのは、彼の心が単にそこになかった、ということだ。戦争犠牲者への関心がないし、新型コロナ感染で日本人に何が起きたかにも関心がない。台風や地震災害、その他のことでも同様だ。スピーチには、悲劇、悲しみ、今後人々にもたらされる痛みを自分の言葉で共有するという感覚が全くない」

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 NHKでは式典を生放送し、首相あいさつをテロップ表示していたが、読み飛ばしで合わなくなり、テロップを中断した。放送事故である。
 この人、恥ずかしいことばかりしでかしてくれる。

 ちなみに秋葉氏は、原爆投下の日にあわせて五輪選手が黙祷することをIOCに提案していたが、平和の祭典というなら、そのくらいはやらないと。
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 世界報道写真展2021」を観てきた。

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大賞の「初めての抱擁」マッズ・ニッセン(デンマーク

 大賞の「初めての抱擁」は、ブラジルの介護施設で2020年8月、看護師に抱きしめられる85歳の女性を撮影したもの。プラスチック製の「ハグカーテン」がコロナ禍における人と人との関係を象徴している。

 ナゴルノカラバフでの戦争、サバクトビバッタの襲来(ケニア、イエメン)、巨大森林火災(ブラジル、人権弾圧で投獄される人々(ベラルーシなど)、足止めされる難民(ギリシャ)、ブラックライブズマター、トランスジェンダーなど今の世界が直面するさまざまな課題が凝縮されている。

 この世はこんなにも悲しみ、苦しみに満ちているのか、と暗澹たる気持ちになる一方で、けなげにたくましく生きぬく人々に希望を与えられる。

 私の印象に残ったものとしては、ナゴルノカラバフ戦争で、アゼルバイジャンが占拠した土地を追われるアルメニア人を撮影したヴァレリー・メルニコフ(ロシア)の組写真。赤子を抱えて悲嘆にくれる若夫婦。住み慣れた家の戸口に寄りかかって泣く老婆を2匹の猫がじっと見ている。さらには村を離れる前に自宅を自ら焼く男性、お墓から遺体を掘り出していく人もいる。戦争で故郷を失う苦悩が痛ましく映しだされていた。

 また、ストーリー大賞のアントニオ・ファシロンゴ(イタリア)は、イスラエルに収監されている長期囚のパレスチナ人の家族を長期取材した。10歳以上の面会人とはハグなど体の接触が禁じられるという厳しい規則をかいくぐって、彼ら長期囚の子どもたちが何人も生まれ続けている! 長期囚たちは自分の精液をさまざまな手段で外に送り、妻が対外受精で子どもを授かるのだ。命をつなげることも闘いの一環なのか。観ていて苦しくなる写真の数々だった。

 今年は残念ながら日本人の作品は賞に入っていないが、去年の大賞となった千葉康由さんの「straight voice(真っすぐな声)」が展示されている。

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千葉さんの作品

 展示は東京都写真美術館で9日(月)まで。
 

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