ガードレールの花。
きょうはハルシャギク。別名はジャノメソウ(蛇目草)。「ハルシャ(波斯)」はペルシャのことだが、実は北アメリカ原産。日本では、明治時代初頭に来たとされる帰化植物だそうだ。これも園芸用から野生化した植物だ。
こちらはマツバギク。南アフリカ原産だそうだ。
たぶん近所の人が植えたのだろう。
ガードレールのそばにたくさんの種類の植物が生えているのは、こうして人が植えたのもあるからだろう。道行く人に花を楽しんでもらおうという心遣い。ありがたい。
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先日公開したコラム【高世仁のニュース・パンフォーカス】の「コロナ禍があぶりだす日本のガラパゴス化」で、給付金をマイナンバーを使ってオンライン申請すると行政の事務が大変な手間になって郵送の方が早いという実態を批判した。膨大な公務労働の浪費になっていることに情けなさだけでなく、怒りさえ感じたのだった。
というのは、ドイツでは4月のあたまに「助成金」を申請して2日で振り込まれたと聞いていたからだ。
ところが、もっと早いところがあるらしい。
28日の朝日新聞「特派員メモ」(ソウル)から。
《韓国の人たちの間で最近、あいさつ代わりに交わされる話題がある。「もう緊急災害支援金を申請しましたか?」だ。新型コロナウイルスの流行を受けた政府の経済対策で、1世帯あたり、最大100万ウォン(約8万6千円)が支給される。
私も知人に申請したか聞いてみた。「オンラインで1分もかからなかったよ」。ITが発達し、何でも「早さ」を好むお国柄。申請もスムーズなのだな、と思いつつ、いつ入金なのかも尋ねた。
「入金?もう受け取ったよ。ああ、さっき1分もかからないと言ったのは、申請から入金までのこと」
多くの人が支援金をクレジットカードなどの「ポイント」で受け取る。クレジット会社もホームページや携帯電話のアプリで簡単に手続きできるらしい。(略)》
日経新聞でも「コロナ給付金2週間で97%完了 韓国、スピードの秘訣」の記事。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59677240Y0A520C2000000/
日本もはやく、マイナンバーを「使える」システムにしなければ。
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28日、中国の全人代は国家安全法制を採択した。
立法権を持つ全人代常務委員会が関連法案の制定作業に着手し、早ければ8月にも法律が可決、施行されるという。
米国は反発を強めており、27日には下院がウイグル族らの人権弾圧に関わった中国政府高官らへの制裁を政府に求める法案を可決した。
トランプ大統領は人権などに関心をもつ人物ではないが、大統領選挙をにらんで中国への強い態度で臨む形を見せたいところで、このところ強硬姿勢で突っ張っている。
中国をめぐる国際関係がちょっと心配になるくらい「熱く」なっており、「米中冷戦か?」などという段階ではなく、本格的な敵対関係の時代に入った感がある。
中国の方もますます反米姿勢を強めている。
政府だけでなく、一般の人々の間で「攻撃的愛国主義」が急激に強まっている。政府を称賛することが「愛国」であり、政府を批判する人は攻撃されるべきという風潮で、ネットでの政府批判はとてもできないムードになっているという。
『ニューズウィーク』が武漢在住の作家方方(ファンファン)さん(65)のケースを取り上げている。
《1月23日にウイルス発生地の武漢が都市封鎖された時、中国のSNS上に珍しく政府に対する非難や責任追及の声が現れた。武漢在住の女性作家・方方(ファンファン)が毎日ネットに投稿した「武漢日記」は作家の良心として注目を集め、大量にシェアされた。政府への謝罪要求や批判は高まる一方だった。
ただし3月以降、欧米の感染者が増え続けるなか、中国のネット世論も逆転した。政府批判が突然消え、代わりに欧米諸国に対する嘲笑と中国政府への賛美が始まった。感染拡大を抑止した中国の強さは共産党一党支配の制度的優位性を示し、欧米諸国の感染拡大は民主と自由の制度的な失敗だという。こういった政府賛美は、政府のネット工作員以外はほとんど「小粉紅」といわれる若い愛国者からの自発的な投稿だった。
つい先日まで人気だった「武漢日記」も英語版の出版によって批判の的となり、方方は「良心的作家」の座から引きずり降ろされ、売国奴として罵倒されている。日記の中に、感染情報を隠蔽したと中国政府を批判する記述があるためだ。今はアメリカが中国政府の責任を追及している最中。「武漢日記」の英語版出版は「給美国逓刀子(アメリカへ刀を渡す、アメリカに中国の罪状を示すという意味)」ではないか、裏切り者だ、決して許せない──というわけだ。
わずか2カ月前、政府の不作為と情報隠蔽は中国全土をパニックに陥れたが、今は何事もなかったかのように自国の政府を賛美し、他国の政府を嘲笑している。》
https://www.newsweekjapan.jp/satire_china/2020/05/7.php
NHKBS1『国際報道』(28日)も方方さんについて詳しく伝えた。
方方さんの日記はコロナ禍の日常を綴ったもので、例えば、2月4日(封鎖13日目)には
「スーパーが閉鎖され食料がなくなるのを恐れて買い占めがおきているという」。
12月に新型ウイルスに警鐘を鳴らして当局から訓戒された李文亮(Li Wenliang)医師が亡くなった直後の2月7日(封鎖16日目)には
「情報が封じ込められていた間に、多くの医療従事者が感染し、その家族も悲しんでいる」。
感染対策が効果を示し始め、党、国家への感謝が求められたことについて、3月7日(封鎖45日目)には
「武漢のリーダーたちは市民に党や国家に感謝するよう求めるが、実に奇妙な考え方だ。政府は人民の政府であって、人民のために奉仕する存在だ」と書いた。
方方さんの日記には当初、大きな共感が寄せられた。
ところが4月8日に武官の封鎖が2ヵ月半ぶりに解除され、北京や上海でも経済活動が再開、一方で欧米各国で感染が深刻になってくると、世界の他の国々に対する優越感も煽られて政府への支持が圧倒的になり、政府に批判的な言動はSNSなどで誹謗・中傷されるようになった。
方方さんには、日記が海外で出版されるとの情報が流れると、中国の悪い印象を世界に与えるとの非難が寄せられて炎上、殺人をにおわせる脅迫もあったという。
方方さんは書き込み機能を停止し、海外メディアからの取材も控えている。
習近平体制のもと、言論統制と世論工作が徹底され、感染の不安な心情からコロナとの闘いでの一体感や反米による団結意識へと煽られ、「攻撃的愛国主義」の蔓延になっているようだ。
「政府支持=愛国」の常套手段で国民を煽る指導者は、国家を危機に陥らせ国民を不幸にする。トランプはその典型だし、わが国の指導者もその傾きが強い。ただ、トランプは対北挑戦制作を見ても、「口だけ」の強がりにすぎない。一方、今の習近平指導部は、尋常ならざることをやる実力も意思もあるのが怖い。
政府には言葉通りに「毅然とした」対中外交を求めたい。習近平の国賓来日などは問題外だ。