「国家安全法制」導入で再び緊迫する香港

 晴れた日は自転車で一回りすることにしている。
 緑が美しく風が心地よい、いい季節だ。

 きょうのガードレールの花。
 道端に咲く花といえば、今の主役はヒメジョオンだろう。

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 「日本には1865年頃に観葉植物として導入され、明治時代には雑草となっていた。(略)要注意外来生物に指定されているほか、日本の侵略的外来種ワースト100にも選定されている」(wikipedia)

    江戸末期に導入され、しばらくすると「雑草」になり、今は排除すべき存在になっているという。よく見ると、きれいな花である。

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 アジサイも咲き始めている。初夏である。
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 中国の全人代全国人民代表大会)で最終日のあす28日、香港での反政府的な動きを取り締まる「国家安全法制」を導入する方針が採択される予定だ。

 また、香港立法会(議会)はきょう27日、中国国歌の侮辱行為を禁じる「国歌条例」案の審議を再開した。

 「国歌条例」とは、中国の国歌を侮辱する行為に刑事罰を科すもの。中国本土で2017年、国歌の替え歌など侮辱行為を禁止する「国歌法」が成立したのに合わせて、習近平指導部は、香港でも同様の内容の条例を制定するよう求めていた。

 これを受けて、香港政府は、国歌を侮辱した場合、最高で禁錮3年と5万香港ドル、日本円でおよそ70万円の罰金を科すほか、学校やメディアを通じて、国歌についての教育を強化することなどを盛り込んだ条例案を去年、立法会に提出した。条例案の審議は、去年6月に中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正をめぐる大規模な抗議活動が続いて一時中断。去年10月から立法会での審議が再開されたが、本格的な議論ができないままとなっていた。政府は、立法会の会期末が7月に迫る中、6月4日には採択に持ち込む予定だ。

 国家安全法と合わせて市民の反発が強まっており、各地で抗議活動が行われた。警察の取締りは一段と厳しさを増していて、360人もが逮捕されたという。

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たくさんの若者が逮捕された(27日AP)

 周庭さんのツイッターより

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 中国共産党は断固として民主派を追い詰めるつもりで、実際には、香港の人々にこれを止める手段はない。

 民主活動家、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)さんが記者会見し「アメリカだけでなく、イギリスなどヨーロッパの国々も中国に対する制裁の動きがある。中国政府が香港の独自性を壊そうというのなら、香港の反発だけでなく、国際社会からの反発に直面することに気付くべきだ」と述べたが、国際社会の圧力に頼るしかない状況だ。

 海外の動きについては日経新聞が以下のように伝えている。
 《トランプ政権が想定するのは、2019年11月に成立した香港人権・民主主義法に基づく制裁措置だ。同法は大きくわけて2つの制裁手段がある。一つは香港の人権弾圧に関わった中国共産党の関係者らの米国内の資産凍結や査証(ビザ)の発給停止措置だ。

 こうした制裁は形式的な側面が強く、比較的発動しやすい。米国が重視する民主主義や法の支配を揺るがしかねない事態に断固たる対応をとる姿勢を示すことになる。

 もう一つは米国が香港に与えている関税やビザ発給などの優遇措置の見直しだ。米国は香港を中国本土と異なる関税地域と位置づけ、対中国の制裁関税や厳格な輸出管理の対象外としている。

 同法は香港が一国二制度に基づく「高度な自治」を維持できているかどうかの検証を米政府に義務付け、議会への毎年の報告を求めている。一国二制度に問題があると判断すれば、香港に与えている優遇を見直す。

 米シティグループは米国が香港の優遇を取りやめた場合、「モノの貿易に大きな影響が出る可能性は小さいものの、輸送や旅行などのサービス貿易に目に見えた影響が及ぶ」と分析する。中国企業は軍事技術に転用可能なハイテク製品などを香港を通じて輸入するケースがあり、米国の制裁の一環でこうした抜け穴がふさがれる可能性もある。

 米国勢調査局によると、19年に米国にとって最大の貿易黒字国・地域が香港(約260億ドル)だった。米国は電気製品などを香港に輸出しているが、貿易中継地としての色彩が強い。また米投資銀行などは香港をアジアの統括拠点と位置づけて多くの人材を配置しており、香港への制裁は米国企業への打撃となりかねない。

 米国が制裁に踏み切れば、中国は報復に動く可能性が高い。中国外務省の趙立堅副報道局長は27日、トランプ氏の発言に「いかなる外部勢力の干渉も許さず、必要な反撃措置をとる」と反発した。制裁は米国にとっては「もろ刃の剣」といえる。

 欧州連合EU)のミシェル大統領は26日、「我々は中国の行動について甘くない」と中国に警告した。英国、オーストラリア、カナダの3カ国は、「香港市民が直接参加せずに法律を導入すれば、一国二制度の原則を明らかに損なう」との共同声明を発表した。

 日本では、菅義偉官房長官が27日の記者会見で、香港情勢に関して「政府として強く懸念している」と語り、「日本の懸念は外交ルートを通じて中国にしっかり伝えている」と明らかにした。

 菅氏は「一国二制度のもと従来の自由で開かれた体制が維持され、民主的、安定的に発展することが重要だ」と主張。「主要7カ国(G7)をはじめ関係国の動向などを情報収集し適切に対応したい」と述べた。》
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59636800X20C20A5EA1000/

 

 香港の一国二制度の事実上の終焉が迫っている。

 香港の若者たちを応援しつつ、心身の無事を祈る。