「一国二制度」にNOを突きつけた台湾総統選挙

 きょうは玉川上水沿いを10キロほど歩く催しに参加してきた。

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 冬枯れの木々の枝先をよく見ると小さな芽が膨らんできている。途中の公園には梅が咲いていた。今年は記録的な暖冬になるらしい。
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 11日投開票された台湾総統選挙で、台湾の民意は中国との「一国二制度」による統一にはっきりとNOをつきつけた。
 対中強硬路線の与党・民進党蔡英文総統(63)は、得票率57%で対中融和路線の国民党・韓氏に約19ポイントの大差をつけ圧勝。得票数は817万と1996年以降の直接総統選で最多。投票率は74.9%で16年の前回選挙を9ポイント近く上回った。
 18年には、経済政策などで蔡英文政権への批判が高まり、11月の統一地方選では民進党が大敗、蔡英文総統の支持率も2割台に低迷していた。
 ところが、中国の習近平国家主席が2019年1月、台湾を香港と同じく「一国二制度」で統一する方針を明言。さらに6月から香港は、反中国デモとそれに対する厳しい弾圧で政情が混乱する。台湾に「きょうの香港はあすの台湾だ」との警戒感が高まったことで、民進党への支持が一気に拡大したと見られる。
 世界は、とくにアジアでは、中国にどう向き合うかがますます大きなテーマになってくる。
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 この間の気になったニュースから。

1.《厚生労働省が8日発表した2019年11月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、基本給や残業代を合わせた1人当たりの現金給与総額(名目賃金)は28万4652円で、前年同月に比べ0・2%減った。減少は3カ月ぶり。物価の影響を加味した実質賃金は0・9%減で名目、実質ともにマイナスとなった。
 実質賃金は10月の速報値(0・1%増)が確報値の段階で0・4%減へ修正されたのに伴い、11月は2カ月連続の減少となった。賃金が比較的低いパートタイム労働者が増え、全体の水準が下がったとみられる。》(共同)

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 安倍首相は景気が拡大し続けていると言い張るが、統計は正直だ。先進国では異例の長期にわたる生活水準の低下がつづく。経済がここまでひどくなっているのに、それが政治的な不満につながらないのが問題だ。
 
2.《1983年に欧州で消息を絶った拉致被害者有本恵子さん(当時23歳)が12日、60歳の誕生日を迎えた。神戸市長田区の自宅では、姉の尚子さん(61)が報道陣の取材に初めて応じ、「一刻も早く帰国して日本で幸せな人生を送ってほしい」と思いを語った。今後は両親を支えながら、もう1人の姉の昌子さん(63)と一緒に拉致問題の解決に向けた運動に参加する。
 神戸市外国語大の学生だった恵子さんは、英国に留学していた83年7月頃、北朝鮮に拉致された。父の明弘さん(91)と母の嘉代子さん(94)は30年以上にわたり、恵子さんの救出を求めて運動を続けてきたが、嘉代子さんは持病の不整脈が悪化し、今月3日から入院している。
 恵子さんが還暦を迎えるのを機に、尚子さんも「高齢になった両親のためにも妹を取り返したい」と運動に携わることを決めた。
 この日は、自宅で恵子さんの誕生日会が開かれ、恵子さんが好きだったイチゴ入りのフルーツケーキやハンバーグなどが食卓に並んだ。明弘さんは「安倍首相が訪朝し、必ず被害者を帰国させるように話をつけてくれるはずだ」と語った。》(読売新聞)

 有本恵子さんの拉致はその詳細がもっともよく判明しているケースである。
 ロンドンの語学学校で学んでいた恵子さんは、おもしろい仕事があると誘われてコペンハーゲン経由で北朝鮮に渡りそのまま身柄を拘束された。ロンドンで恵子さんに接近して親しくなり、北朝鮮行きを誘ったのは八尾恵という「よど号」犯の妻だった女性で、本人が詳細を証言している。この作戦は、「よど号」犯リーダーの田村に指示され、「よど号」犯の安部と、朝鮮労働党員で外交官の肩書を持つ工作員、キム・ユーチョルとともに実行した。八尾は法廷で証言したほか、恵子さんの両親に土下座して謝罪した。私も八尾と独自に会って証言を聞いている。
 恵子さんは、やはり欧州から拉致された札幌出身の石岡亨さんと北朝鮮で結婚し、子どもをもうけたことがわかっている。
 北朝鮮は、1988年に一家全員、暖房用の石炭ガス中毒で死亡したと日本側に通知したが、その「死亡」時期よりあとに曽我ひとみさんが恵子さんを外貨ショップで目撃しており、現在も生きている可能性がある。
 それにしても23歳で拉致されていまや還暦とは・・。本人はもちろん、待ち続ける家族の気持ちを思うといたたまれない。北朝鮮の体制が一日もはやく崩壊するよう祈る。

3.《沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設で、海底の地盤改良工事について検討・助言する防衛省の「技術検討会」の委員が二〇一六~一八年度、改良工事に伴う設計変更を請け負った建設コンサルタント日本工営」(東京)から別事業で報酬を受けていたことが本紙の調べで分かった。同社は委員の助言を設計に反映する立場にあるが、同社から資金提供を受けていた委員が設計変更案について「お墨付き」を与えたことになる。》
辺野古の工事変更案は日本工営など二社が防衛省と作成。同省によると、二社の担当者は技術検討会の会合にも同席している。費用は当初計画の三倍近い九千三百億円に膨らみ、工期も倍の十六年に延びたが、検討会は昨年十二月、変更案を了承した。二社は今後さらに設計の詳細を詰める。設計がまとまれば防衛省沖縄県に変更を申請する。(東京新聞

 そもそも2013年の返還計画では、埋め立てなどの工期は5年で、早ければ2022年度に普天間基地の返還が可能になると言っていたのに、軟弱地盤が見つかり、工期が2倍、費用が3倍になっていく。このままでは移転は30年代になる。
 危険な普天間基地を一刻も早く移転しなければ・・などと言ってきた政府の嘘が暴かれたばかりでなく、その工事変更案を検討する有識者会議の委員らが受注業者からカネをもらっていたというのだ。
 ウソと腐敗が蔓延する政治をなんとかしなければ。