香港の自由弾圧法がスピード可決

 きょう6月30日、中国の全人代常務委員会は香港国家安全維持法を香港立法会を通さずに全会一致でスピード可決。あす7月1日に発効する見通しだ。

 香港民主運動への決定的な打撃となり、これまでのような集会やデモ、さらには選挙への自由な立候補も困難になるだろう。
 民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏がリーダーを務める民主派政党「香港衆志(デモシスト)」は解散し、すべての活動を停止するとフェイスブックで発表した。この政党の存在自体が処罰の対象になる可能性があるからだ。

 黄氏のほか、幹部の羅冠聰(ネイサン・ロー)氏、周庭(アグネス・チョウ)氏らもデモシストからの離脱を発表した。
 周庭さんはツイッターで悲愴な心情を吐露している。
 この日は歴史に刻まれる日になるだろう。忘れないでおこう。

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 日本の皆さん、自由を持っている皆さんがどれくらい幸せなのかを分かってほしい
 彼女のこの訴えをしっかり受け止めなければ。

 

 香港が英国から中国に返還された際、高度な自治を保障する「一国二制度」が導入された。憲法にあたる香港基本法は、香港政府に行政管轄権や立法権、独立した司法権を与えている。言論や報道の自由も認められ、市民は基本法が約束した自由や権利を訴え続けてきた。

 明日7月1日は香港返還23年目の記念日で、一部の活動家は抗議活動を予定している。新法が適用されて弾圧されるのではと心配だ。無事を祈る。

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 以下、この法律解説を日経から引用する。これは現在分かっている範囲の情報。最高で終身刑もあるとの情報もあるが確認されていない。

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 中国政府は治安維持機関として香港に「国家安全維持公署」を設置する。香港政府が行政長官をトップとして設立する「国家安全維持委員会」の監督・指導にあたる。中国政府はさらに同委に顧問を派遣する。同法には「香港の他の法律と矛盾する場合、国家安全法が優先される」との規定も盛り込まれている。

 香港は外国籍の裁判官が多く「司法の独立」が担保されてきたが、国家安全法案に絡む事件を審理する裁判官は、香港政府トップの行政長官が指名する。外国籍の裁判官が排除され、判決が常に中国寄りになる懸念がある。

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 国家分裂など4つの処罰対象の定義が曖昧な点だ。若者たちがデモで訴える「香港独立」の主張や中国共産党への批判、欧米に中国への制裁を求めるといった活動が違法とみなされる恐れがある。言論の自由や人権が軽視され、一国二制度の根幹が揺らぐ。

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 経済活動や人的交流で深い結びつきがある。19年6月時点で香港に拠点を置く日本企業数は1413社と中国企業に次ぐ多さで、香港の在留邦人は2万5千人超に上る。日本産農林水産物の輸出額は国・地域別でトップだ。香港からの訪日客は229万人に上り、約3人に1人が訪日している計算になる。