トランプがシリアからの米軍撤退を発表

 さあ師走も後半、一年の最後の節季「冬至」だ。一年で最も日が短い日。ということはここから少しづつ日が長くなっていく折り返し点。多くの民族で、古来、太陽の復活祭が行なわれてきた。
 冬至といえばユズ。岡野守也先生のもとでともに学んでいるO君からユズをいただく。太陽を意味するという説もあるそうだ。

 カンボジア「伝統の森」の森本喜久男さんが、追い詰められると今がどん底だと思うようにしたと言っていたのを思い出す。もうこれ以上悪くなりようがないからどうやって上に上がろうかと発想したそうだ。冬至からこんなことを連想するのも、自分が追い詰められているからか。
 寒さはつのり「冬至冬なか冬はじめ」、真冬のはじまりである。
 きょう22日から初候「乃東生(なつかれくさ、しょうず)」。ウツボグサ=夏枯草(かごそう)が芽を出すの意味だそうだ。27日から次候「麋角解(さわしかのつの、おつる)」。ヘラジカの角の生え替わりの時期の意味。元旦1日からが末候「雪下出麦(ゆきわたりて、むぎのびる)。雪の下で麦が芽を出し始める。
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 トランプ大統領が19日、米軍のシリア撤退を突然発表した。
 シリアに外国勢力が介入するのをやめましょうという一般論はそれでよいのだが、今の具体的な状況のなかでは、米軍撤退は、アサド政権とロシアの住民虐殺、トルコのクルド攻撃に歯止めをかける存在がなくなることを意味する。きわめてまずい動きだと思う。多大な犠牲を払ってISを軍事的に追い詰めた最大の功労者、クルド勢力は完全にハシゴを外されて呆然としていることだろう。
 去年5月、写真家の小松由佳さんが1歳の子を連れてシリア難民取材にヨルダンに向かった。これはNNNドキュメントで「サーメル 子連れ写真家とシリア難民」というタイトルで放送された。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20170919
 この時、私もヨルダンに同行して、大勢のシリア難民と初めて接する機会をもったが、意外だったのはトランプ大統領の人気が高かったこと。1ヵ月前の4月6日、アメリカは、アサド政権の化学兵器使用に対する「人道的介入」として、シリアに59発の巡航ミサイルによる空爆を実施していた。私が接した難民たちは、これを高く評価したのだった。
 「トランプがバカだっていうのは知ってる。でも、オバマも誰もこれまでアサド政権への攻撃をやってくれなかったじゃないか。トランプしか頼れるものはいない」とある難民は言った。
 今回の米軍撤退の決定を、彼らはどんな思いで聞いたのか。
 トランプの決定は例によってツイッターで発表された。「イスラム国(IS)に歴史的な勝利を収めた。いまこそ米国の若者たちを帰国させる時だ」。
 米政府高官、米軍の幹部も事前に知らされず、米国と組んでISを壊滅させた有志連合諸国を驚がくさせた。イギリスもトランプのツイッターで知ったという。
 「さっき、核ミサイルのボタン押したからね」などとツイッターで知らされる日が来ないことを祈る。北朝鮮やサウジだけでなく、大国のリーダーも危険な面々ばかり。恐ろしい時代である。