韓国で戒厳令発令とその失敗による大統領弾劾の動きが進行中のなか、シリアでは反体制勢力が電撃的に全土を掌握し、アサド大統領がロシアに亡命した。まさに激動の年末を迎えている。
シリア民衆の闘いを支援してきたNPO法人Stand with Syria Japan (SSJ)の声明を紹介したい。国際社会がシリアを見放す中を活動してきて今を迎えた感慨が伝わってくる。これからの統治の安定を危ぶむ声もあるが、きょうのところは、シリアの人々の歓びに寄り添いたい。どう見てもこれは残虐な圧制からの「解放」なのだから。
【歴史的速報:ダマスカス解放】
— Stand with Syria Japan (SSJ) (@SSJ__official) 2024年12月8日
ついにシリアの首都ダマスカスが解放されました。アサド大統領は国外に逃亡したとの情報。これはシリアにおいて、親子2代半世紀に渡って市民を抑圧し、虐殺してきた独裁政権が打倒され、自由、平等、尊厳、正義というシリア人の尊い悲願が達成された歴史的瞬間です。… pic.twitter.com/ASeVpY6IaR
ついにシリアの首都ダマスカスが解放されました。アサド大統領は国外に逃亡したとの情報。これはシリアにおいて、親子2代半世紀に渡って市民を抑圧し、虐殺してきた独裁政権が打倒され、自由、平等、尊厳、正義というシリア人の尊い悲願が達成された歴史的瞬間です。
今、全世界のシリア人は広場に繰り出し、祖国が解放された喜びを噛み締め、歓喜の声をあげています。SSJは長年シリアにおける自由、平等、尊厳を求めて立ち上がった市民に寄り添ってきたNPO 法人として、全世界のシリア人に対して、最大の祝意と敬意を表明します。
今日の歴史的勝利は11月27日からの反体制派の進撃だけによって成し遂げられたのではありません。54年の間、父の代から2代続く恐怖独裁政権下で静かに虐殺されてきた人々を含む、シリア市民の自由で民主的な国への希求とそれに向けた絶え間ない努力によって成し遂げられたのです。
特に2011年のシリア危機以降、平和的にデモを行っていた市民はアサド政権によって弾圧され、少なくとも20万人以上が虐殺され、13万人以上が強制的に拉致され、1万5千人以上が拷問によって殺害されました。また、人口の半分以上の1300万人以上が家を追われ、600万人以上が難民として国外に強制的に追われました。国際社会は14年に及ぶ間シリアで起きてきたジェノサイドを看過し、シリアの人びとを見捨てて来たのです。シリア人が失ったものはあまりにも大きいものでした。しかし、彼らは尊いシリア革命の達成のため、たとえ世界から無視をされても、誰もアサド・ロシア・イランによる虐殺を止めなくても、それでも自由で民主的なシリアという国の実現を諦めずに、今日に至るまで民衆革命を続けて来たのです。まさに今日、シリア人の悲願が形になったのであり、我々も言葉では表せない感情に満たされています。
しかし、シリア革命はまだ終わっていません。アサド政権の打倒はあくまで通過点(※最も重要な通過点)です。国連安保理決議2254が規定するように公平な選挙が行われ、シリア人による民主的な政権が樹立され、国民による国民のための再建が行われ、数えきれない戦争犯罪及び人道に対する罪を引き起こしたバッシャール・アル=アサド前大統領、及び、アサド政権関係者が訴追され、被害者とその家族に正義がもたらされるまで、SSJはシリアの民衆と共に闘い続けます。シリアはようやくスタートラインに立ちました。
最後に、今日という歴史的な日ーー祖国シリアの解放のために尊い命を捧げた全てのシリア人に哀悼の誠を捧げます。そして、どんな逆境の中でも、どんな屈辱の中でも決して諦めることのなかった全てのシリア人と共に、私たちの心はあります。アサド政権完全崩壊、心からおめでとうございます。
2024年12月8日
NPO法人Stand with Syria Japan (SSJ)
東京・ベルリン・イドリブ職員一同