韓国でとんでもないことが起きた。
《韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は3日午後10時半ごろ、緊急の談話を発表した。国会での野党の行為について「内乱を企てる明白な反国家行為だ」と指弾し、「非常戒厳を宣布する」と表明した。しかし韓国国会は4日未明に開いた本会議で、戒厳令の解除を要求する決議案を可決。戒厳令は約2時間半で事実上、効力を失った。
戒厳令を受けて発足した「戒厳司令部」は3日、「国会と地方議会、全ての政党活動と集会、デモを禁じる」との布告を出した。司令部の命令で、兵士らが国会議事堂に突入した。だが尹氏は4日午前4時半ごろ、「憲政秩序を崩壊させる反国家勢力に立ち向かう救国の意志で非常戒厳を宣布したが、国会から戒厳令解除の要求があったため軍を撤収させた」との談話を出し、宣布から約6時間後、閣議で正式に戒厳令を解除した。
国会周辺には多くの市民が集まり、戒厳令の撤回を求めて叫んだほか、兵士らの国会突入を阻止しようと小競り合いになる場面もあった。
韓国メディアによると、戒厳令は1979年10月、当時の朴正熙(パク・チョンヒ)大統領暗殺事件を受けて宣言されて以来、45年ぶり。》(毎日新聞)
尹大統領の今回の行動にはよく分からない点も多い。
《「何の利点があると思って行ったのか。韓国史上最も不可解な出来事だ」
今回の尹氏の判断について聞くと韓国のベテラン政治記者らは口をそろえる。その「勝算」のなさ、野党勢力を北朝鮮の影響下にあるかのように描写した3日夜の談話の奇妙さ、いずれも韓国内でも「理解できない」との声が相次ぐ。》(毎日新聞)
今回の事態について、星川淳さんがFBでコメント―
《韓国の戒厳令騒ぎ、一番頼りになるのは在日か在韓かを問わず、現地情報をしっかり把握・咀嚼して発信してくれる人たち。戒厳令が発せられた時点ですでに国会内に国会議員半数以上が陣取っていて、それにさらに阻止線を破った議員たちも合流し、2時間以内(だったか)に同じく憲法で保障された戒厳令無効化決議を成立させたことを、日本のニュースではほとんど取り上げない。また、たちまち国会へ駆けつけた市民の動きも素早かったし、力強かった。市民革命をやり遂げた社会から学ぶべきものは多い!》
韓国の市民の民主主義にかんする”感度“はすばらしい。
以下のSNSでの指摘にも考えさせられた。
《戒厳令を受けて出動した軍の兵が携えていた拳銃の弾倉は空で、自動小銃も模擬弾倉だった。仮に今の自衛隊が同じ立場となったら、司令官はこうした矜持を示せるだろうか?》
https://x.com/I_hate_camp/status/1864004541185986901
《クーデターが一夜にして終わったことから、杜撰な計画だとか茶番だとか冷笑する声が出てきている。そうではなく、市民とメディアが戒厳令に全く従わなかったから、国会議員たちが封鎖を突破して議会に集合できた。権力者の策謀を一夜にして潰えさせる韓国の民主主義の力をきちんと評価するべき》
https://x.com/hokusyu1982/status/1864068040310276458
近年、韓国、台湾などの民衆の意識の高さを見せつけられ、学ぶべきことが多いと感じる。ひるがえってわが日本は、と考えるとお寒い限りだ。日本が劣化しているのは経済だけではない。なんとか立て直さなくては。
メディアが権力と闘わず、市民が悪政に声を挙げず、軍隊(自衛隊)内の人権意識、憲法順守精神は希薄な日本。同じことが起きれば阻止されることもなくすんなり戒厳令が敷かれるだろう。
憲法に非常事態条項を入れるという議論をやる場合、今回の事態を教訓にすべきだ。それと同時に、日本のメディアにかかわる人たちと市民の意識をどう変えていくかを考えなくては。