暴力の応酬で転機に立つ香港情勢

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 通勤のルートをちょっと変えると、また別の植物に出会ったりする。このにぎやかに遊んでいるような花はノゲイトウ(野鶏頭)。風で揺れたりすると動物のようだ。
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 それでもさぐにゃぐにゃの赤子ここまでに一応はしたよくやった私

 14日の朝日歌壇の佳作に選ばれた上田結香さん(東京)の作。上田さんの歌はいつも暮らしの中で感じたことをあけっぴろげに表現していて、うなずきながら笑ってしまう。先日、うちの娘の誕生日だったが、一人暮らしの娘は顔を見せにも来ない。その夜、この短歌と同じようなことをかみさんも言っていたな。子どもは親が思うようには育たないが、それでもまあ、大きくなったのだからそれでいいのだ。
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 きのうのブログで、香港情勢は暴力の応酬が一線を超えつつあると書いたが、ついに爆弾が登場したらしい。
 《香港の警察当局は14日、反政府デモが行われていた付近で、手製の爆弾が使用されたと発表した。負傷者はいなかったが、一連の抗議デモに関連して、爆弾が使用されたのは初めて。香港政府が「覆面禁止法」で締め付けを強めた後、対立が一部で先鋭化している。
 警察発表によると、爆弾が使用されたのは13日午後8時ごろ。九竜半島側の旺角(モンコック)地区の繁華街で、路上の花壇の一角から爆発音がし、付近から携帯電話の破片や電気コードなど手製爆弾とみられる破片が見つかった。
 現場では同日、抗議デモが行われ、当時はデモ隊が築いた路上の障害物などを警察側が撤去する作業を行うため、付近に警察車両が止まっていた。警察側は、携帯電話によって起爆させる方式の爆弾が仕掛けられていたとみている》


 さらには警官をナイフで襲う事件も。
 《香港では今月5日の覆面禁止法の施行以降も抗議デモが相次いでおり、13日には20カ所以上でデモが呼びかけられていた。九竜半島の観塘地区では同日、高校3年の少年が警察官をナイフで切り付けて首にけがを負わせたとして、その場で拘束された。一方、14日未明には旺角地区で香港メディアの取材チームの運転手が、実弾より威力を弱めた布袋弾で警官から頭部を撃たれたうえ、警棒で殴られるなどしてあごの骨を折るなどのけがをした。》(朝日)


 香港でよく見かけるスローガンに"FIGHT FOR FREEDOM/STAND WITH HONGKONG"がある。「自由のために闘おう、香港とともに」という意味だが、民主派は、中国に国際的な圧力をかけてほしいと呼び掛けている。
 《香港で14日夜、米議会に「香港人権・民主主義法案」の早期可決を求める集会が開かれた。香港政府が5日にデモ隊のマスク着用を禁止する「覆面禁止法」を施行して以降、許可された初めての集会で約13万人(主催者発表)が参加した。》(産経)

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米国に期待するデモ隊(日経)

 これに呼応するかのようにアメリカが動いた。
 《米議会下院は15日の本会議で、香港での人権尊重や民主主義の確立を支援する「香港人権・民主主義法案」を全会一致で可決した。米政府に香港の「一国二制度」が機能しているかの検証を義務付け、中国政府関係者に制裁を科せるようにする。上院も可決する公算が大きく、その後トランプ米大統領が署名すれば法案は成立する。
 米国は関税やビザ発給で香港を中国本土よりも優遇している。人権法案は毎年の検証結果に基づいて優遇をやめたり、制裁を科したりできるようにする内容だ。香港への政治的な締め付けを強める中国政府をけん制する狙いがある。(略)
 中国政府は香港問題は中国の内政上のことだとして猛反発する。中国外務省の耿爽副報道局長は16日声明を出し、法案が成立したら報復措置を取ると警告した。》(日経)
 米国のこの法律には、中国は絶対に譲れない国家主権に干渉するものとして激しく反発するはずだ。
 香港情勢は内外ともにますます目が離せなくなってきた。