グアムまで飛ばないうちはお友達

 昔なじみのヨーロッパ出身のジャーナリストから「会いたい」と連絡があり、きのう日本外国特派員協会に行った。たまたま、「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首が記者会見をやっていたので、私も参加した。

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 受信料を支払った人だけがNHKを視聴できる「スクランブル放送」に安倍首相が同調すれば、憲法改正の国会発議に賛同する交換条件を提示する立花党首。憲法原発など基本的な政策をどうするのか質問されると、「党首として政策内容は言わないようにしている」と不思議な答え。NHKのスクランブル化以外の政策は今後「可及的速やかに明らかにする」そうだ。参院選投票率が低いことについて聞かれると、「日本が安全で豊かな国である証明なので、投票率が引くのはいいことだ」という。現実を見ていない政党なのだなと思った。
 この会見でも、立花氏は得意の「NHKをぶっ壊す」をジェスチャーつきで披露していた。通訳がそれを“Scrap NHK!”と英訳した。なるほどこういうときは「スクラップ」を使うのか、と勉強になった。
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 このところ、外交関係で気になる出来事が次々に起きている。「外交の安倍」と胸をはる安倍首相だが、その内実は?

 まずは日韓関係。
 《政府は2日の閣議で、輸出の優遇措置を適用する「ホワイト国」のリストから韓国を除外する政令改正を決定した。政令改正は7日に公布され、28日に施行される。世耕弘成経済産業相は会見で、今回の措置は安全保障上の観点から対応したもので、徴用工問題などを巡る韓国への対抗措置ではないと強調した。韓国はこれに強く反発。文在寅大統領は「非常に無謀な決定だ」と批判、対抗措置をとる考えを示した。》(ロイター)
 文在寅大統領は「加害者である日本が、盗っ人たけだけしく、むしろ大きな声で騒ぐ状況は絶対に座視しない」と異例に強い言葉で非難している。文政権は断固として日本に屈しないという姿勢で国民の支持を集めているし、日本でも韓国には譲歩すべきでないという意見が圧倒的に多いから、両国とも強硬路線は続くだろう。
 それにしても日本の対応はまずかった。はじめの段階で、政府高官が慰安婦や徴用工をめぐる問題の報復ととられる発言をしていたことや、6月に来日した文大統領に説明のないまま抜き打ちで「ホワイト国」除外を発表したことで、国際的な印象としては日本が不利になったと思う。ここまで来たら、安全保障上の問題が何かを公開して国際社会に理解を求めるべきだ。

 文在寅大統領には高飛車に出る安倍政権だが、ロシアには「抱きつき」外交で、またまたプーチンと首脳会談だそうだ。プーチンはじめ政府高官は「北方領土」は返しませんと何度も言っているのに、安倍首相は成果が上がっていると言うばかり。そんな中、ロシア首相が2日、北方領土択捉島を訪問した。メドベージェフ氏の北方領土への訪問は2015年以来、4年ぶり4回目だという。
 日本政府は抗議したが、《メドベージェフ氏は北方領土への訪問に対する日本政府の抗議について「ここは我々の土地で、ロシアの領土である。(抗議を)懸念する理由はない」と反論した。国内の訪問に他国の同意を得る必要はないと主張し、「このような(日本の)反発が大きいほど、ロシア政府の代表が訪れる理由がある」と譲歩しない姿勢を強調した。現地で記者団に答えた。》(日経)
 ツイッターでは・・「安倍晋三プーチンと25回も会談して3000億円もプレゼントしてコレかよ?無能に任せておくと拉致問題北方領土問題も後退しまくりだな。」(きっこのツイート)
 これが「外交の安倍」の実態だ。

 では、ゴルフ友だちで仲良しだというトランプ大統領はどうか。
 《トランプ米政権が、在日米軍駐留経費の日本側負担について、大幅な増額を日本政府に求めていたことがわかった。各国と結ぶ同盟のコストを米国ばかりが負担しているのは不公平だと訴えるトランプ大統領の意向に基づくとみられる。来年にも始まる経費負担をめぐる日米交渉は、同盟関係を不安定にさせかねない厳しいものになりそうだ。
 複数の米政府関係者によると、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が7月21、22日に来日し、谷内正太郎国家安全保障局長らと会談した際に要求したという。今後の交渉で求める可能性がある増額の規模として日本側に示した数字について、関係者の一人は「5倍」、別の関係者は「3倍以上」と述べた。ただ、交渉前の「言い値」の可能性もある。》(朝日)
 米軍駐留にたっぷりと「思いやり予算」をつけて、兵器購入で大盤振る舞いさせられたうえ、もっとカネを出せか。
 菅義偉官房長官は、ボルトン氏の5倍の負担を求める可能性があると日本側に伝えたとする報道を「そのような事実はない」と否定した。では、ボルトン氏に、私たちも当惑していますので「そんな発言はしていない」と言明してくださいと要求しましょう。

 そうこうしていると、北朝鮮がまたまた「飛翔体」を発射した。
 《韓国軍の合同参謀本部によると、北朝鮮は2日午前3時ごろと同3時20分すぎ、東部の永興付近から、日本海に向けて短距離の飛翔体を2回にわたり発射した。飛翔体の発射は7月25日、31日に続くもので、1週間余で3度は異例だ。
 合同参謀本部によると、今回の飛翔体の高度は約25キロ、推定される飛行距離は約220キロ。韓国大統領府は、今回の飛翔体は31日のものと似ていると指摘。「新型の短距離弾道ミサイルの可能性が高い」とした。》
 これも「米韓が5日から予定する合同軍事演習」への「牽制」だと解説されている。ミサイル開発には貴重な外貨と膨大な労力がつぎ込まれている。そのミサイルを発射するのは、景気づけに花火を上げるのとは違う。トランプ氏がアメリカに届かないミサイルは問題にしないという間に、開発の速度をあげていると私には見える。より高い精度の、迎撃システムに補足されないミサイルを作ろうとしているのだろう。

    グアムまで飛ばないうちはお友達大阪府 早田良二、朝日川柳8/3)
 世界はいったいどこに向かっているのか。ますます混沌とする国際情勢だ。