北朝鮮の「軟化」にアメリカは・・

 NEWS23の特集「難病の教頭先生を卒業式に!」は今夜放送されました。予告できずにすみません。
 

 韓国の特使が金正恩と会い、4月末に南北首脳会談が行われることで合意したとのニュース。メディアには北朝鮮の「軟化」に、驚きと歓迎の声が紹介されている。
 ただ、金正恩が妹の与正(よじょん)を平昌オリンピックに合わせ韓国に送ったときからかなり話が進んでいるのは見えていた。とんとん拍子で南北首脳会談開催まで発表できるのは、すでにアメリカの内諾もあったのだろう。
 テレビで速報を見たとき、2002年の日朝首脳会談を思い出した。北朝鮮は日本に対して、経済的には巨額の経済援助を、また軍事攻撃をほのめかすアメリカへの橋渡しを期待し、小泉首相の電撃訪朝が実現した。訪朝にあたって、小泉首相は、米朝対話再開に向けたブッシュ米大統領金正日あてメッセージを直接伝えており、金正日も「朝鮮半島の非核化が目標である」などと言っていた。
 そして、日朝平壌宣言には、核問題及びミサイル問題の解決を図る、また「ミサイル発射のモラトリアムを2003年以降も更に延長していく」などと「前向き」な文言が並んだのだった。
 これは、今ととてもよく似ている、北朝鮮は韓国に当時の日本の役割を振りあてているように思われる。
 
 アメリカがどうでるかに注目が集まっているが、トランプ政権は、まともな対北朝鮮政策を作れる状態になく、その対応は予測できない。
 トランプ大統領は、北朝鮮が、非核化に向けた米国との対話に意欲を示したことを「北朝鮮は真剣だと思う」と言って前向きな発言をしている。一方、アメリカ政府は、金正恩の異母兄、金正男氏が昨年、マレーシアで殺害された事件について北朝鮮による犯行と断定し、6日新たな制裁措置を発表した。ちぐはぐで、何をやろうとしているか分からない。パレスチナもシリアも、アメリカの外交政策の腰が定まらないことで混迷が深まっている。北朝鮮についても、あの残酷な全体主義体制が延命する方向に事態が進むのではないかと懸念している。
 進行中の「南北融和」が平和をもたらすなどとは全く期待していないが、ただし、このタイミングは、北朝鮮から譲歩を引き出すチャンスではある。もっとも外交力が試される時期た。2002年に日本は拉致被害者5人の帰国という大きな譲歩をかちとった。今回、北朝鮮は当面日本には顔を向けておらず、今の日本政府のやる気のなさからしても、拉致問題などでの進展は望めないだろう。