今上天皇に学ぶ「滝田修」

 きのう、1冊の本が送られてきた。「謹呈」とある。
 たけもとのぶひろ『今上天皇の祈りに学ぶ』(明月堂書店)。おお、なつかしい。著者の竹本信弘とは、滝田修のペンネームで知られ、1969年「京大パルチザン」を結成、1971年の埼玉県朝霞駐屯地での自衛官殺害事件の共謀共同正犯として指名手配された。10年間逃亡の後、逮捕された、いわば過激派の教祖。「日本のゲバラ」とも呼ばれた。裁判では強盗致死の幇助で懲役5年の判決だった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B9%E6%9C%AC%E4%BF%A1%E5%BC%98
 実は竹本さん、私のバンコク駐在時代、うちに滞在していたことがある。友人の紹介で会ってそのままうちで寝泊まりするようになったのだが、どうしてそうなったか、細かい事情は忘れてしまった。一緒にネオン街で呑んだり議論したりと、私も楽しかったが、竹本さんも居心地がよかったらしい。かみさんによると「1ヵ月くらいいたはず」だという。いつの間にか、私は竹本さんに「兄弟」と呼ばれるようになっていた。
 「初めて外国に出て、ものすごく勉強になっとるわ」と毎日いきいき暮らしていた。そして「むかしのわしを解体する作業をやっとるんや」とも言っていた。すでに出所直後に『滝田修解体』(世界文化社)を出していたが、その自己批判を徹底していくというのだった。
 それにしても今回いただいた本は、今上天皇に「学ぶ」というのだから驚いた。ぱらぱらめくると、天皇の言葉から戦後民主主義を読み解く趣旨のようだ。後日紹介したい。
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 サウジアラビア政府を批判してきたジャマル・カショギ記者が、トルコにある総領事館で殺害された疑惑。なんとも恐ろしい話である。
 サウジとのビジネスで私的にも巨額の恩恵を受けているトランプ大統領は、「ならず者の殺害者」がやったなどと必死にサウジを擁護しようとするが、皇太子ら権力中枢の指図であることは間違いない。詳細も明らかになりつつある。

《館内で何が起こったのか。鍵を握るのが、トルコ当局が入手したとされる館内の音声データだ。音声データを聞いたという地元紙イェニ・シャファクなどによると、入館直後に総領事の執務室に連れていかれ、男らに殴られた後、叫び声や暴れる音が響いたという。
 館内では怒号も飛んだ。
 「私をトラブルに巻き込むな。執務室の外でやれ」。総領事がどなると、「生きてサウジに帰りたければ黙れ!」。実行犯の男が大声で返した。法医学者の男が「私はこの仕事をするとき、音楽を聴くんだ。君たちも聴きなさい」と、体の切断を始めたという。犯行はわずか7分間だった。》(読売新聞より)
 この「音声データ」は、記者がつけていたアップル社の「アップルウオッチ」で音声が録音され、記者が婚約者に預けた自身のiPhoneや、ネット上のデータ保存サービスに送信されていたものだとトルコ紙は伝えている。

 ところで、この疑惑については、早くも14日に、イギリス、フランス、ドイツの外相が共同で、「今回の事件を極めて深刻に受け止めている。何が起きたのか信頼できる調査による真相究明を行ったうえで、責任者を処罰しなければならない」との声明を発表し、サウジ政府に真相究明を求めている。
 こういう人権にかかわる重大事件では、わが日本政府はいつも沈黙である。情けない。
 中国のウイグル族弾圧もしかり。中国当局ウイグル人ら100万人もの少数民族を拘束しているとの疑惑だ。10月4日、欧州議会は、「中国・新疆ウイグル自治区ウイグル族とカザフ族に対する大規模な強制収用が行われていること」に関する緊急議案を審議し、中国政府による宗教の自由に対する抑圧を非難すると同時に、被収容者の即時解放を求める決議を採択した。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは、国際社会が中国政府に制裁を科すべきだと主張している。日本政府は、中国に対して尖閣問題では抗議をする一方で、人権問題では何も言わない。日本政府自体が人権とは縁のない体質だから?
 上(米国)におもねり、弱きをくじき、身内をえこひいきして、息をするように嘘を吐く。政府が見せる姿勢は、その国民の精神形成にも影響する。その意味でも、もうこの政府は一日も早く取り換えたい。