蓮池薫さんの期待

  暑いくらいの陽射しのなか、木々の緑がきらきら美しい。

 きのう今日と連休中でも仕事。ただ出動は夕方以降だったので、きのうは代々木公園でカンボジア・フェスティバル、今日は光が丘公園でハワリンバヤル(モンゴルの祭り)を楽しんだ。ハワリンバヤルではモンゴル相撲の試合にたくさんの見物人が集まった。まわりではモンゴル語が飛び交い、在日モンゴル人がこんなに多いのかと驚かされた。日本にいま7000人ほど在留しているという。日本最大のモンゴル祭りにみな集まってきたのだろう。

 馬頭琴とホーミーが流れるなか、勝負がつくと歓声があがる。そして勝者が鷹の舞いを踊る。モンゴルの草原を疑似体験した。かわいいモンゴル娘を多く見れたのもうれしかった。
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 4月29日に放送された『池上彰緊急スペシャル 激動の朝鮮半島!どうなる拉致問題!平成の宿題 徹底解説』(フジテレビ)を観た。そのなかで、池上氏による南北首脳会談直後の蓮池薫さんへのインタビューを興味深く観た。
 池上氏から「日本にいる私たちに何ができると思いますか」と聞かれた蓮池薫さんの答えはこうだった。
 「国民のみなさんにお願いしたいのはですね、『そもそも拉致というのは国家犯罪でそこに見返りとかそういうものはありえない』というのは当然、正論だと思いますが、しかし『拉致問題を解決すれば国交正常化』というこのパターンを受け入れて、支持していただきたい。強気に行って、追い込んで、降伏させるというには時間がかかるし、なかなか無理だろうと、いま当面は。だから、そういう日本政府が柔軟な政策に基づいて解決しようとしたときに、積極的に支持していただければ、政府は動きやすいでしょうし、そうすれば解決への道が大きく開けてくるのかなと。まさにそのタイミングはいま近づいてきているのかなと、こう思います」
http://lite-ra.com/2018/05/post-3985.html
 不確定要素が多い今の流れのなか、オールオアナッシングではなく、北朝鮮からなるべく多くの譲歩を引き出す外交が求められる。蓮池さんの表現は楽観的に過ぎるかもしれないが、聞くべき意見だと思う。いま日本の外交力が試されているのだが、今の安倍内閣がどこまでできるか。

 このインタビューでは、拉致されて以降の自分たちの役割についても注目すべきことを言っている。

 拉致被害者にはまず「教育をして自分たちの工作員として使えたら使おうと」した。「当初の(拉致の)目的としてはそうだったと今は確信しております」。
 それがうまくいかず、「その後は北朝鮮工作員に我々は日本語を教えて仕事をさせられたと。教育係というのは結果的に我々が果たすことになった役割で、これも中断されたんですね。その後は翻訳でもさせろと」。

 つまり、拉致被害者は、①まずは工作員にする、②その後、工作員たちの教育係、③最後に翻訳作業をやらされる、という順序で利用されるということだ。
 そして、田口八重子さんが金賢姫に、横田めぐみさんが金賢姫のライバル金スッキに教育係となったように、蓮池さんたち自身もそういう任務をやらされていたというのだ。
 さらに、蓮池さんが、2002年に北朝鮮が日本に帰す拉致被害者としてなぜ自分たちが選ばれたのかを語った部分も興味深かった。
 それは、蓮池さん、地村さん、曽我ひとみさん一家が、子どもがいて「しっかり人質にしておけば『帰らない』と思える人間たち」だったからだと推測しているという。「その子どもを日本に帰るときに平壌においておけと」言われてあくまで一時の里帰りとして日本の地を踏んだというのだ。つまり、北朝鮮は永住帰国しないはずの5人を日本に帰した。独身者ははじめから除かれたわけである。帰国した蓮池さんたちが、北朝鮮に戻らず、子どもたちを日本で待つと決断して今がある。
 北朝鮮が、残る拉致被害者を返さない事情について、あらためて考えさせられる。