狩りガール増加のわけ

takase222018-03-01

 東京はよく晴れて、ぽかぽかと最高気温20度近くまでに上がったという。近所の梅が満開だ。
 夜は満月。寒くないから外で存分に月を眺めていられる。猛吹雪に見舞われている北日本の人たちに申し訳ないが、春らしい日を楽しんだ。
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 ある友人が、来月から海外に赴任するというので、十数年ぶりに会って築地で寿司を食べた。場外市場は外国人観光客で混みあい、路地を抜けるのも一苦労。寿司屋では席が空くまでだいぶ待たされた。それでも、築地で食べていると思うだけで、おいしく感じられ、来たかいがあった。


 帰りに「築地よりみち館」に寄って写真展「築地プライド」を観る。撮ったのは、ドイツ人写真家のイワン・トスカネリさん(53)。築地市場で働く人23人の写真が10月の豊洲への移転を前に展示されている。「築地の人は、顔が違う」「プライドが刻まれている」「顔がすべてだ、背景はいらない、白バックの撮影だ」とトスカネリさん(解説文)。それで、背景を市場ではなく白いシートにしたらしい。体を動かしている人の表情がいい。縦1.7mに伸ばした写真は迫力満点だ。13日までで、入場無料。夜10時までやっているのがうれしい。

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 14県26カ所で撮れたイノシシの肉を食べ比べ、グランプリを選ぶという祭典が、今週末3日と4日、岐阜県郡上で開かれる。私が参加した「郡上カンパニー」の仲間で「猪鹿庁(いのしかちょう)」というグループが主催している。今年は静岡、石川、富山、岐阜、愛知、三重、奈良、和歌山、岡山、島根、愛媛、福岡、大分、宮崎のイノシシ肉が食べられるという。私は残念ながら行けないが、おもしろそうだ。
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 イノシシやシカ、場所によってはクマまでが里に下りてきて、人間様と様々なトラブルになっているというニュースが増えている。農作物を荒らされる獣害のすさまじさに、農業を辞める人も珍しくない。高齢化が進む山間部では、獣害予防もままならないのだ。各地の自治体は、農地にフェンスをもうけたり、電流を流したりと、獣害対策になけなしの予算を割かざるを得ず、これが地方衰退の一つの原因にもなっている。事態は深刻である。    
 猪祭りをひらく「猪鹿庁」は、獣害をなくすという目標を掲げた団体で、ジビエは活動の一環にすぎない。行政も「認定鳥獣捕獲等事業者制度」をもうけてニホンジカやイノシシの生息数を平成35年度までに半減する目標を掲げている。いまや狩猟に社会貢献という要素が加味され、大義ある行為になっているのだ。最近は「狩りガール」という言葉があるくらい狩猟に関心をもる若い人が増えているが、これもご時世である。銃猟の免許(2種)とワナ・網猟の免許があり、ワナ・網の方は比較的簡単にとれるという。免許が取れても、実際の猟とその後の解体はしっかり実地で学ばないといけないが、猟師育成制度もある。
 獲物を捕らえれば、害獣駆除で行政から報奨金が出るし、肉をジビエ料理に供給するシステムができれば二重に収入になる。田舎に住んで出費を減らし、猟に習熟すれば、「猟師」として暮らしていける可能性がある。これからの若者の職業選択肢に入れてもよいと思う。
 また、狩りの好きなヨーロッパの人など、日本はどこでも狩りができてうらやましいと言うそうだ。狩猟を観光資源にし、インバウンドツアーの目玉にすることも考えられる。

 野生動物がここまで人間の生活圏に入ってきたのは異常事態と言ってよい。その背景についてはまたあらためて書いてみたい。