米国は拉致問題を解決してくれない

 きょうは日本テレビで「制作会社勉強会」に参加した。報道倫理やいわゆるコンプライアンスの徹底を図るもので、具体的な事例を挙げて、取材上注意すべき点が提示された。
 日テレは2009年、「真相報道 バンキシャ!」の裏金虚偽証言放送がBPO放送倫理・番組向上機構)から「放送倫理違反」と判定され勧告を受けたのをはじめ、立て続けに不祥事を起こした。https://www.bpo.gr.jp/?p=2812&meta_key=2009#d_01
 これを受けて、2012年、今回のように集められて、コンプライアンス強化の大勉強会があったのを覚えている。全社あげての取り組みが功を奏したか、それ以降、大きな不祥事はないという。
 勉強会後は、夕方のニュース番組’every’特集感謝パーティ。特集の「視聴率」「上昇率」「制作本数」ランキングが拍手や掛け声とともに発表される。さすが視聴率トップの日テレ、と思わせる、制作会社へのフォローである。弊社の作品もランクインした。大小田ディレクターが制作した「無戸籍児」が、特集の放送時間内で31%視聴率を上げて、「上昇率」6位!



 去年6月に放送した「私には戸籍がなかった〜10歳で保護された女性の21年」という特集で、このブログでも放送後、視聴率を大きく上げたことを書いていた。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20160623
 ランキング入りした他の特集を見ると、硬い社会派の企画でよく健闘したなと思う。
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 6日、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会のメンバー17人が、トランプ米大統領夫妻と迎賓館で面会し、拉致問題解決への協力を求めた。面会した中に、拉致被害者曽我ひとみさんもいた。早紀江さんは面会後「熱心に話を聞いてくれた。(両政府は)一刻も早く行動に移してほしい」と話したという。
 この面会は総選挙直前に安倍首相が発表したもので、米国政府に理解を求め、拉致問題の存在をアピールする分には良かったと思うが、単なるパフォーマンスと安倍首相の人気取りにおわるのではないかと危惧する。
 有田芳生さんが、「安倍総理の『やってる感』に愛想を尽かした拉致家族のホンネ」と題して、ほんとはやってないのにやってるかのようなムードをつくる手法を批判しているが、そのとおりだと思うhttp://ironna.jp/article/8107
 三本の矢にしても、「丁寧な説明」にしても、何かやってるふりしかしていない。拉致問題はこのままでは本当に終わってしまうという危機感を覚える。そもそも、アメリカが解決してくれるなどという幻想を一片たりとも持ってはいけない。