「ニュース女子」は続く

 初めての米朝首脳会談の可能性が出てきたという大ニュースが流れた。

米朝会談について発表する鄭国家安保室長、徐薫国家情報院院長、趙潤済駐米大使)

《トランプ米大統領は8日(日本時間9日午前)、韓国の鄭義溶・大統領府国家安保室長とホワイトハウスで会談し、北朝鮮の非核化のため金正恩朝鮮労働党委員長と5月までに会談する意向を表明した。鄭氏が明らかにした。鄭氏によると、金氏が5日の南北会談で非核化への意思を表明し、核・ミサイル実験凍結を約束。トランプ氏との早期会談を要請、トランプ氏が応じた。米朝首脳会談が実現すれば史上初。》(共同)
 韓国代表団と会ったときの金正恩の満面の笑み。あれは何だろう。国民向けに「ほら、核を持った強盛大国に南から朝貢してきたぞ」と成果を誇りたいのか、それともすでに裏で大きな果実が約束されたからなのか。過去の南北首脳会談のさいに、莫大な裏金が北に送られ金正日体制の延命に役立ったという犯罪的な行為が繰り返されないことを願う。突っ込みどころはいろいろあるが、私は、北朝鮮は変っていないことを前提に、裁判もなく政治犯収容所に入れられて苦しむ人々や拉致被害者の立場に立つという原則でこの事態を見ていきたい。考えるべきは、北朝鮮の体制を崩壊させることをにらみながら、いま現れた北朝鮮から譲歩を得るチャンスを生かすということ。まさに外交力が試される時期である。
 安倍首相は4月に訪米して日米首脳会談をすると発表。虚を突かれておっとり刀で駆けつけるように見えるが、この局面を利用して日本に対する最大限の譲歩を勝ち取る努力をしてほしい。これまでのように「拉致問題もよろしく」とお願いするという無策を繰り返さないように。
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 朝日新聞が今朝長官一面トップで「森友文書項目ごと消える」と大見出し。朝日は一連のスクープに自信満々と見える。情報を連続して小出しにし、政権を揺さぶっている。
 財務省近畿財務局の職員の自殺、佐川宣寿国税庁長官の辞任と政権の危機は深まっている。佐川氏の辞任に、すかさず自民党から「一般人になられ、(国会招致が)難しくなった」(森山国会対策委員長)と真相解明逃れに利用しようとフォローが入る。よくここまで露骨にできるものだ。よほど国民をなめているのだな。政権は末期的な症状を見せるが、国会の数の力による真相隠蔽がどこまで通用するか。正念場だ。
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 MXテレビ「ニュース女子」関連続報。
 放送倫理・番組向上機構BPO)の放送人権委員会は八日、昨年一月に沖縄県の米軍基地反対運動を取り上げた東京MXテレビのバラエティー番組「ニュース女子」について、番組で名前を挙げられた人権団体「のりこえねっと」の辛淑玉(シンスゴ)共同代表に対する名誉を毀損する人権侵害があり、放送倫理上の問題もあったと認めた。その上でMXに委員会の決定内容を放送し再発防止に努めるよう勧告した。勧告は三段階ある委員会の判断で最も重い。
 番組は化粧品会社ディーエイチシー(DHC)の子会社のDHCテレビジョンが制作し、昨年一月二日と九日に放送された。委員会決定によると、番組は出演者のコメントやテロップで、辛さんについて「過激で犯罪行為を繰り返す基地反対運動の『黒幕』」「参加者に五万円の日当を出している」などと表現したが、これらに真実性の証明はなく、辛さんの社会的評価を低下させ、名誉毀損が成立すると結論づけた。
 また、番組が制作会社による「持ち込み番組」だとしてもMXが放送責任を負うとして、MXの事前の考査が不十分だと認定。人種や民族を扱う際に配慮を求めた日本民間放送連盟の放送基準にも反し、放送倫理上問題があったと認めた。(略)
 坂井真委員長は「番組の考査において、番組中で展開される批判の根拠となる事実が真実であるかどうか、適切な取材が行われたかどうか確認しないまま放送を行うことは許されない」とMXを批判した。
 番組を巡ってはBPO放送倫理検証委員会が昨年十二月、事実の裏付けが不十分として「重大な放送倫理違反があった」とする厳しい意見を公表している。》(東京新聞9日)
 MXは「ニュース女子」の放送をやめるが、制作するDHCテレビジョンは3月5日、地方局やCS、ネット上で「ニュース女子」を存続させると発表。懲りていないようだ。
 《番組製作はこれまで通り継続し、4月以降インターネット媒体はYouTubeライブ、ニコニコ生放送Fresh!にて毎週月曜22時から最新分をライブ配信いたします。また、衛星放送や地方局での放送も継続いたします。》
https://dhctv.jp/information/2018-03-05-309104/

 東京新聞の記事は、「ある制作会社の幹部」の言葉を引用して、《インターネットの普及でテレビ離れが進み「大企業が多額のテレビ広告費を支払うメリットを感じなくなっている。各局の制作予算はどんどん縮小している」といいスポンサーの存在感はますます強まっている》と指摘する。
 テレビで食っている我々も、今後のニッチ(生息環境)をどう見つけていくか、厳しい時代になっている。