一昨日はロシア革命100年だった。
社会主義に憧れていた若い頃、ロシア革命の100周年記念日が、かくも冷淡に、ほとんど無視に近い形で扱われることになろうとは、想像できなかった。
《今日はロシア革命100年。この革命が民族自決権を高く掲げたことは、第2次大戦後の植民地支配の崩壊につながった。社会権を初めてうたったことは、ILO創設につながった。ソ連はスターリンによって変質させられ崩壊したが、ロシア革命は今日の世界になお持続的影響を与え、世界史的意義は巨大だ。》
こうツイッターに書いたのは、共産党の志位和夫委員長。残念ながら、「変質」して本当の社会主義を築くことができなかったが、ロシア革命はすばらしいという。
http://twitter.com/shiikazuo/status/927717433950928896
社説で取り上げた新聞もある。
「ロシア革命から100年 強権統治という負の遺産」(毎日新聞)
《無産階級を解放し、民衆が権力を握るという社会主義思想が、世界に波及力を持っていたことは間違いない。その思想に基づいてアジアやアフリカでは社会主義政権が誕生し、ソ連はその盟主になった。
一方で、スターリンの大粛清に見られるように、共産党の一党独裁体制による市民社会の弾圧という負の側面も大きかった。中国やカンボジアなど各地に広がった社会主義国でも、虐殺や人民弾圧という共通現象を生み出した。
民衆の解放という理念を説きながら、暴力で民衆を弾圧するという矛盾を抱えていたのが社会主義の限界だったのではないか。》
《ソ連は1991年に崩壊し、希代の「実験」は失敗したが、革命の歴史は、今後の世界の針路を探る手がかりを残した。
本家ロシアでは、あの革命の輝きは失われている。(略)
一方で、今なおロシア革命をたたえる国もある。中国の習近平(シーチンピン)氏は先月の中国共産党大会で「十月革命の砲声がとどろいて、中国にマルクス・レーニン主義が送り届けられた」と建国の歴史を誇った。
だが、共産党一党独裁のソ連を範にした体制を続ける中国、北朝鮮、キューバなどの国々は、自由、人権、平等などで、理想とはほど遠い状況だ。
人類を進歩させるために社会主義革命は不可避だという考えは色あせた。だが、冷戦に勝利したはずの資本主義・自由主義陣営の国々も今、よりよい未来を目指すための羅針盤を失ったかのように漂流している。(略)
公正で平等を保障する社会を築くには、民主主義への問いかけを続けるしかない。その今の現実と今後の指針を考えるうえでも、ロシア革命とその後の現代史は今日的な意味を持つ。》
いいところもあったが、欠陥も大きかった。そして、今日的意味を持つ。
こういう総括でいいのか、疑問に思う。人類史上最大の人的犠牲を生み出したのは、社会主義革命だった。
(つづく)