きのう、用事でTBSに行ったら、赤坂サカスに見事な桜が咲いていた。
これは「三春桜」と呼ばれ、日本三大桜の一つで国の天然記念物、福島県三春町の「滝桜」の子孫樹だという。つまり、三春町から移殖されたもので、「エドヒガシ系のベニシダレザクラ」だそうだ。満開である。
25日で、拉致被害者の家族会が結成されて20年たった。
この20年で、主に日本のメディアや支援組織の調査で、北朝鮮による拉致の実態、その広がりが暴露されてきた。拉致は国際的に取り組むべき問題だと認識されるようになった。しかし、具体的な成果としては、残念ながら5人の拉致被害者とその家族を取り返したにとどまる。日本で待つ家族や友人が、この20年という年月をどういう気持ちで過ごしてきたかを思うと言葉もない。
拉致被害者で蓮池薫さん(59、新潟産業大学准教授)がNHKのインタビューに応じた。
《蓮池さんは、家族が高齢化している現状を踏まえ「政府は何を感じているのか。25周年とか30年などということはあってはならない。『頑張ったね20年』ではなくて、『もう20年、20年以上なんてありえない』と受け止めなければならない」と、今の心境を語りました。
そして、北朝鮮が「被害者8人は死亡した」としていることについて、「私は北朝鮮が死亡の科学的な根拠を出せない人は、全員生存していると考えている。政府はそれを大前提に交渉する。ここはぶれてはいけない」と話しました。
北朝鮮の核開発に注目が集まり、拉致問題が置き去りになりかねない懸念については、「政府は核の問題にはきぜんとした態度を取りつつも、拉致問題を優先させる姿勢を明確にし、国際社会の理解を得ながら北朝鮮と交渉に入らなければならない」と強調しました。
そのうえで蓮池さんは「拉致を解決すれば見返りを与えることができると伝える必要がある。例えば電力事情の改善など経済協力という形で、北朝鮮に必要なもので核やミサイルの開発につながらないものがあるはずだ」と指摘し、拉致問題の突破口を開く戦略の構築を求めました。》
蓮池さんは今年10月で、あの飛行機のタラップを降りてきた帰国のときから15年になる。
《蓮池さんは「帰って来て、微々たるものであっても親孝行できるし、ごく普通の家族の関係を取り戻せた。また、本来の夢とは違うが、この年になっても『ことしはこれをやろう』とわくわくしながら過ごせている。帰って来てこそ人生を取り返せる。残された被害者は帰国してほしい、政府は救出してほしい」と話しています。》
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170325/k10010924551000.html
最近、蓮池さんがメディアに出るのは、解決に向けた動向がまったく見えないことを憂慮し、なんとか動きをつくりたいという思いからだ。動いてほしいとみんな思っている。
先月、「救う会」の全国協議会が制裁を取引条件にして北朝鮮と交渉に入れという方針を発表した。
《今なすべきことは、北朝鮮との間で、全被害者を返すなら日本は、かけた制裁を下ろすことができることなどを見返り条件として実質的協議を持つことだ。わが国は全貿易の禁止や人道支援の停止など国連制裁よりも相当厳しい独自制裁をかけている。これは拉致問題が理由でかけられた制裁だ。したがって、全被害者が帰ってくるならこの部分の制裁は解除できる。制裁はかけるときと下ろすときの2回使える。まさに制裁を下ろすことを見返り条件として被害者救出のための実質的協議ができる段階に入ったのだ。また、北朝鮮が秘密暴露をおそれるなら、被害者らが帰
国後、反北朝鮮運動の先頭に立つことはなく、静かに家族と暮らすことを約束することもできる。これが、私たちが昨年9月以降、繰り返し主張してきた「新たな段階に入った救出運動」だ。》
これについて、特定失踪者問題調査会の荒木和博代表が「北朝鮮は交渉に応じるか」という文章をブログにのせた。
《北朝鮮が交渉に応じて拉致被害者を返すのであれば、もちろんそれに越したことはありません。そのための交渉が可能であれば積極的にやるべきだと思います。しかし問題は今北朝鮮が交渉に応じるような状況にないということです。
核・ミサイル問題で、周辺四大国が、それぞれに利害対立はあっても脅威の認識を共有しています。北朝鮮はそれでも強硬姿勢を崩していません。すでに後戻りのできない状態で、金正恩からすれば少しでも弱気を見せれば自分の存在自体が危機に陥ると思っているでしょう。
そんなときに譲歩を意味する交渉に応じられるでしょうか。また、ほとんど抜け駆けに近い交渉が進んだとすれば、それを米中露、そして韓国が許すでしょうか。さらに付け加えれば、日本政府ですら誰が拉致被害者なのか分かっていない、横田めぐみさん拉致の真実すら隠してきたのに、「全被害者の帰国」などできるはずがないということです。
北朝鮮を交渉に応じさせるためには、「応じなければ物理的に抹殺する」というくらいの圧力でないかぎり不可能です。資産凍結ですら500万円にも満たないという状態で、現在の制裁が日本独自のものも含め相手に決定的な圧力となっているとは思えません。
もう一度、取引材料になる制裁とは何か、考え直す必要があるのではないでしょうか。》
http://araki.way-nifty.com/araki/2017/03/news242229323-a.html
取引材料になる制裁とは何かを再考することには賛成だ。
拉致被害者の奪還を可能にするには、どういう条件の組み合わせがありうるのか、針の穴を通すような厳しい道だが、追及するしかない。
《譲歩と大きな国際的威信とを用いて全体主義国を正常な国際関係に引きもどすことはあらゆる正当な期待にもかかわらず不可能だった》し、《全体主義政権は相手の妥協性に対して一層の敵意をもって応ずる》。(アーレント)これは北朝鮮にほとんどそのまま当てはまる。繰り返しここで書いてきたが、交渉の機会を求めると同時に、あの体制を崩壊させる戦略を持つ必要があるということである。
ところであの安倍首相夫人、拉致問題でもはしゃいでいたという。有田芳生氏の「拉致解決で訪朝」の仰天プラン! 誰も知らない昭恵夫人ホントの裏話」を読まれたい。http://ironna.jp/article/6136?p=2