ナイジェリアとニジェール

 毎朝、メダカにエサをやる。

 クロメダカ、ヒ(緋)メダカ、ブルーメダカの3種類いる。はじめ、共食いを知らずに子どもを孵すのに失敗していたが、ここ3年ほど、うまくいって、今年は10匹くらいの赤ちゃんメダカが加わった。
 魚類というのは、生命の歴史ではすごい飛躍だった。体の中心に神経管が通る脊椎があり、体中に神経を回らせ、視覚と嗅覚をもつ。魚類は5億年くらい前に出現したが、ここにはじめて、宇宙が映像として、また匂いのある世界として認識されるようになった。それ以前は、宇宙を「見る」ものは誰もいなかったことを考えると不思議な気がする。ちなみに陸上に進出した両生類以降は、空気振動の情報が重要になって、触覚、視覚、嗅覚についで聴覚が創発し、世界に「音」が登場する。
 メダカを見ながら、彼らはいったいどんな思いで生きているのか、と考えるのも楽しい。エサに食らいつく様子を見ると、おそらく食べられるか食べられないかの判別が最優先なのだろう。自分の卵を食べてしまうのだから、「親子」という意識はないはずだが、同じ鉢に住む「仲間」はどう意識しているのだろう。
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 安倍再再改造内閣が発足した。朝日川柳(4日と5日)より。
 女性なら戦せぬとは限らない(千葉県 村上健)
 稲田防衛大臣の任命はさすがに驚く。ここまできたのか。あるツイートより。
 《20年ほど前、南京虐殺はでっち上げだ、と発言した法務大臣が更迭された。8年前、東京裁判史観を否定せよ、と主張した航空幕僚長が更迭された。2016年、前の二人と同じような考えの国会議員が防衛大臣に就いた。》http://twitter.com/jomaruyan/status/761550068293828608

 付け足しの拉致担当は忘れられ山口県 青野浩二)
 やはり、拉致問題担当が誰になったか注意している人がいるのだなあ。私も探したけれど、なかなか見つけられなかった。結局、加藤勝信氏が、1億総活躍担当大臣、拉致問題担当大臣に留任したうえ、新たに設置する「働き方改革」担当大臣を任命された。産経新聞が《安倍晋三内閣の再改造で拉致問題担当相は加藤勝信氏が続投し、「1億総活躍」に加え「働き方改革」担当相を新たに兼務することになった。安倍政権にとって拉致問題の優先順位は低いものだと、誤ったメッセージとならないか。》と心配するほどだが、どうなのか。

 撃ちますと通知がなけりゃ熟睡し長崎県 下道信雄)
 日本は、北朝鮮のミサイルは発射の兆候を捕えられないことを前提に方針転換することになった。ろくな日用品を作れなくても、超精巧な偽札や原爆を製造できるというのが全体主義国家の恐ろしいところなのだ。
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 きょうは午後出社なので朝からテレビを見ていた。
 広島平和式典の中継に合わせて黙祷。その後はオリンピック開会式。
 開会式を見ていると、実にたくさんの国があることにあらためて驚く。どこにあるのかも分からない国がたくさん。また、五輪は戦争の代替行為といわれるように、あくまで国家間の闘いなんだなと認識させられる。勝敗を決めるのは、五輪に向けての国策と経済力。だからこそ逆に「平和と愛と絆」が高く掲げられるのだろう。
 米国や中国などの大選手団が自信満々といったふうに行進する一方、私の好きなラオスはわずか数人で静かに入場してきた。この選手たちを応援したくなる。きっとメダルは無理だけど。
 きのう、サッカーで日本をやぶったナイジェリア。お金がなくて飛行機便を何度も見送ってぎりぎりに試合に間に合うというトラブルに加え、流れた国歌は別の国、ニジェールのものというアクシデントまであった。 
 ナイジェリアとニジェールは、同じ地域の名前が、英国領が英語読み、フランス領がフランス語読みになったものだという。公用語はそれぞれ英語とフランス語。列強が植民地を分け合い、その分割が独立後に持ち込まれた形だ。
 こんな事情は、恥ずかしながらきょう初めて知った。ネットでにわか勉強したら、この二つの国の歴史がとても興味深い。
 古い文明が栄えた地域だったようだ。《紀元前5世紀から2世紀にかけて、国土の中央部のジョス高原において土偶で知られる初期鉄器文化であるノク文化が繁栄した。》(ナイジェリアのwiki
 鉄器文明の出現は日本列島よりずっと早いようだ。さまざまな帝国や都市国家群の興亡を経て、ヨーロッパに植民地化されていく。
 《ナイジェリアの植民地化は、1472年にポルトガル人がラゴスを建設し、奴隷貿易の拠点とした時から始まった。》
 ポルトガルのあと英仏が進出。多くの民族、言語がある地域に、お決まりの分割統治を持ち込む。ニジェールwikiにはこうある。
 《フランスはジェルマ人を優遇し、最大民族のハウサ人などを支配させる政策を採った。》少数派の民族を支配的な立場に登用したのだ。民族間を分断するこうした施策は、独立後に禍根を残すことになる。
 これに地下資源(ナイジェリアは石油、ニジェールはウラン)の利権がからみ、宗教の違いも加わるから、政情が不安定になるのも当然。ナイジェリアでは暴動も頻発して難民も出ているし、ニジェールはクーデター政権だ。ニジェールは世界3位か4位のウラン産出国で、ウランはフランスで濃縮されてから日本にも供給されている。
 面白くて「お勉強」していたので開会式後半はほとんど見れずじまい。でも、ためになりました。