プレスの独立性への懸念

takase222016-04-28

もう4月も終わりか。
月末の資金繰りがつきほっとして気がつくと、コゴミ、ウルイなどを味わうことなく旬が過ぎてしまいそうだ。
いまは、卯月の「穀雨」という節気で、種まきのこの時期の雨は、農作業にとって特別な意味をもつ。
候でいうと25日からが霜止出苗(しもやみて、なえいずる)、30日からは牡丹華(ぼたん、..はなさく)。田植えの準備が整い、百花の王、牡丹が咲く。春本番

こでまりが可愛い花を咲かせている。
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「世界報道自由ランキング」で日本が72位(去年は61位)にまで陥落したことが、先日(20日)ちょっとしたニュースになった。
ただ、これを発表しているのは「国境なき記者団」。
あの安田純平さん拘束事件でドジを踏み、すっかり信用をうしなった団体なので、私の周りでは、まあ話半分に聞いておきましょ、というくらいの反応だ。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20151229

ちょうど同じころ(19日)、表現の自由に関する日本の状況を来日調査した国連の特別報告者、デビッド・ケイ氏が、暫定調査報告を発表し外国特派員協会で記者会見を行った。

そこでは以下の点を指摘している。
放送法特定秘密保護法は改正を
#メディア横断組織を設立し政府からの独立性強化を
#構造的に政府機関との癒着を招く記者クラブは廃止すべきだ
高市早苗総務相は面会を断る
自民党憲法改正草案は「表現の自由」の観点から問題

まっとうな指摘だと思った。
氏がとくに強調したのは、プレスの独立性。
「私は、事態が急激に悪い方向に向かっていることへの深い懸念があるのを知った。それはとりわけ報道の独立性にかんして深刻である。高らかに報道の自由を保護している憲法を誇り得る日本において、プレス(報道)の独立が深刻な脅威に直面している。」
(Yet across a range of areas, I learned of deep and genuine concern that trends are moving sharply and alarmingly in the wrong direction. This is especially acute in the context of media independence. Japan has well-earned pride in a Constitution that expressly protects the freedom of the press. Yet the independence of the press is facing serious threats)

 こうした指摘を知った後に、NHK会長についての続報に接すると、たしかに危機だなと思わずにはいられない。
熊本地震に関連する原発報道について「公式発表をベースに」と内部の会議で指示していたNHKの籾井勝人会長が、同じ会議で「当局の発表の公式見解を伝えるべきだ。いろいろある専門家の見解を伝えても、いたずらに不安をかき立てる」などとも指示していたことが26日分かった。(略)
 公式発表が何を指すかについては、気象庁原子力規制委員会九州電力が出しているものをあげた。
九州電力って・・もろの当事者ではないか。唖然とする。
「公式発表も検証の対象で、政府や自治体が正しく機能しているのかを監視し、間違いを正す必要がある」(大石泰彦・青山学院大教授)という当然の認識が全くない。

 右と言われりゃ右と伝えろ  (神奈川県 大坪智)朝日川柳28日

問題は権力側にのみあるのではなく、マスメディアの側にもありそうだ。
デビッド・ケイ氏が指摘したポイントのうち、「記者クラブ廃止」「独立機関設立」などマスコミの既得権に触れそうなことはテレビ、新聞でほとんど報じられなかったという。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yanaihitofumi/20160426-00057026/
ことを荒立てないまま進んで、いつか東芝三菱自動車みたいに自己破壊に至らないよう願う。