平出和也さん植村直己賞受賞!


再放送です。
 「体感!グレートネイチャーSP「ヒマラヤ造山帯〜世界最深・カリガンダキ河をゆく」
放送:NHK BSプレミアム 2017年2月19日(日)午後1時(90分)

 なぜ、地球にここだけ8千m峰が集中しているのか?深さ数千メートル<世界最深の谷>の底へ決死の下降!そこで発見した<謎の赤い結晶>からヒマラヤ大隆起のメカニズムが導かれる。さらに、1万mを超える<スーパーヒマラヤ>の痕跡を求め、幻の王国・ムスタンへ!そこで目の当たりにしたS字の<謎の大褶曲層>が物語るものとは!?ヒマラヤ大奇観を堪能、その誕生の真説に迫る。

 そしてこの番組で撮影、リポートをお願いした平出和也さんが、植村直己冒険賞を受賞したというニュースが飛び込んできた!

 「世界的な冒険家だった故植村直己さんを記念した冒険賞の2016年受賞者が16日に発表され、数々の困難な未踏ルートを開拓してきた登山家で、山岳カメラマンの平出(ひらいで)和也さん(37)が選ばれた。
 平出さんは東海大山岳部出身。2008年秋にインド北部のカメット(7756メートル)南東壁の初登攀(とうはん)に成功し、09年に登山界のアカデミー賞といわれる「ピオレドール(黄金のピッケル)賞」を日本人として初受賞した。カメラマンとしての評価も高く、13年には世界最高齢の80歳でエベレストに登った三浦雄一郎さんの登頂の様子を撮影した。
 賞の選考委員会は「誰にもまねできない冒険と撮影を両立している」。平出さんは「これまでに多くの仲間を失って何度も登山をやめたいと思ったが、志半ばで途絶えたパートナーたちのためにも、これからも冒険を続けたい」と話した。」朝日新聞

 ライミングパートナーの谷口けいさんを2015年に失った痛手を乗り越えて、挑戦を続けている。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20151222

 1月2日の平出さんのリポートを見逃した方はぜひ再放送をご覧ください。

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 金正男が暗殺された。北朝鮮の犯行であることは間違いない。かの国が「普通の独裁国」ではないことが、誰の目にのもはっきり見えただろう。
 私たちは、金正哲金正恩の兄弟のジュネーブの学校を特定して恩師らにも取材し、当時の彼らの写真をいち早く入手したが、金正男には手つかずだった。そこで、ある時、北京のあるホテルに金正男が来るという情報にもとづいて、女性ディレクターとカメラマンをそのホテルのロビーで3日~4日、張り込みを命じたことがあった。結局彼は現れず、完全な空振りとなった。なつかしい思い出である。
 空港や街角でプレスの質問に答える彼の表情は、そのへんにいる気のいいおじさんのようだ。暗殺された今、「とてもいい人だった」「北朝鮮改革開放の希望だった」と褒めたたえる声がメディアにあふれているが、ちょっと待って。三浦小太郎さんの指摘を読んでほしい。

 「金正男氏が殺害されたことはもちろんひどい話なのですが、労働党幹部にせよ金正男氏にせよ、やはり特権階級であることに違いはありません。多くの罪もない民衆が誤った政策により餓死したり、収容所で殺されたり、脱北してもこの寒さの中で死んでいくことは、ほとんど報じられることもなく見捨てられていきます。そのことを、報道関係者の方々は、決して忘れずに報じてほしいと思います。
 私は金正男や、これは韓国で病気で亡くなった黄長菀氏などについてあまりいい感情を持っていませんでした。彼らは金正日金正恩よりは「開明的」な人間であったのかもしれませんが、民衆の苦しみや弾圧への痛みとは全く無縁な人々に思え(彼らの立場なら、もう少し何とか事態を改善する努力をすべきだったのに)かつ、彼らの発想は要するに親中国であり、中国的な改革開放を北朝鮮に上からもたらすことしか考えておらず、さらに言えば、中国の従属国となることをも肯定しているように(最後に黄長菀が来日した時の講演はほとんどそれに近いものでした)感じられたのです。いまチベットウイグル南モンゴルで起きていることを思えば、到底私には受け入れられる意見ではありませんでした。
 しかし、ある日本在住の脱北者が、中国でひどい扱いを受けたことは認めたうえで、今の北朝鮮は、とりあえず中国が支配して改革開放だけでもしてほしい、というのを聴いたとき、今の北朝鮮を内部から改革すること、民衆が立ち上がって独裁政権を倒すことなどが到底無理ならば、たとえ中国支配下でもそれはそれで今よりはいい、という、絶望的な立場からの願望として、中国程度の自由と豊かさがほしい、という意味として、中国の支配をも望んでしまうような心理が、現在の苦境にある北朝鮮民衆の中には一定程度あるのだろうなと思いました。こうして「親中派」もしくは金正男のように、中国が利用しそうな人間をことごとく抹殺しようとしている金正恩の姿は、そのような民衆の意志に対する逆の反映なのかもしれません。」https://www.facebook.com/kotaro.miura.96?fref=ts