子連れで難民取材にむかう写真家

takase222017-04-27

すごいな!と思う人の存在は、この世も捨てたものではないと明るい気持ちにさせるが、そんな人にまた一人会うことができた。写真家の小松由佳さんだ。
 2006年8月、若干24歳で、日本人女性として初めてK2登頂に成功し、同年度の植村直己冒険賞受賞を果たした。
 将来を期待された女性登山家だったが、その後、写真家に転進。人間が生きる原点をもとめ世界の様々な民族を訪ねるなかで、2008年訪れたシリアに魅せられる。内戦で故郷を破壊され国外に逃れたシリア人と結婚。内戦の前から現在までのシリアの人びとと暮らしをカメラにおさめてきた。



 先週18日、武蔵美で小松さんの講演を聴いたが、生死の境をさまようすさまじい体験を淡々と語った後、「本当に大事なことは、特別な体験ではなく、日常の暮らしにある」と締めくくった。
 聴衆のほとんどを占めた学生たちには、失敗を恐れず、焦らず、自分を信じて進んでいってほしい、人生を怖がらなくていいとエールを送った。森本喜久男さんの、「人生って怖いところじゃない」という言葉を思い出し、「すごい人」は、似たようなことを言うものだと思った。
 彼女の本当のすごさについては、おいおい紹介しよう。

 今日、小松さんは、ようやく1歳になった愛児を連れて、シリア難民の取材に中東へ旅立つ。シリア人のコミュニティを母子で体験したいとの想いからだ。
 きのう、お宅にお邪魔したら、カメラ機材とともに、紙おむつも荷物にパックしていた。赤ちゃんをおんぶしながら一人で一ヶ月にわたり撮影するという。
 無事で、意味ある旅になるよう祈ります。