苦節27年 実を結んだミャンマー民主化運動

takase222015-11-10

ミャンマーの総選挙でスーチー氏の政党が圧勝した。

ミャンマーで8日にあった総選挙(民選枠定数498)で、アウンサンスーチー氏の野党・国民民主連盟(NLD)が、軍人枠を含む国会全体でも過半数となる民選枠の3分の2超(333議席)を獲得する勢いを見せている。朝日新聞が10日に入手したNLDの独自集計によると、当落が判明した306議席のうち294議席で当選確実になった。(略)
 ミャンマー国会上下院(定数664)は、25%(166議席)が選挙の対象でない軍人枠で、民選枠(上院168、下院330)を小選挙区で選ぶ。上下院合計で過半数を握れば、来年1月末に招集予定の新国会で全議員の投票で選ぶ大統領にNLDが推す候補を選出でき、NLD中心の政権をつくることができる。また、上下両院合同で開く連邦院で法案を通せるようになる。》(朝日新聞
400議席を突破して政権を担うのは確実だ。

私がかの国にはじめて行ったのは、「ビルマ」と呼ばれていた1983年。北朝鮮工作員が公式訪問中の韓国大統領一行を狙った「アウンサン廟爆破事件」の直前だった。30年以上のかかわりになる。
スーチー氏が政治の表舞台に出たのが1988年のゼネストだった。軍事政権はこれを弾圧し、多くの人々が死傷し、スーチー氏は軟禁された。そこから、民主化勢力にとって、ながい冬の時代が続く。
軟禁中のスーチー氏を自宅に訪ねて取材したころを思うと、隔世の感がある。市民は、秘密警察におびえており、話を聞くことさえ難しかった。
また、無実のスパイ容疑で仲間から粛清された、輝けるリーダー、トゥンアウンジョーたちのことを思うと感慨深い。一刻も早く名誉回復の措置がとられることを期待する。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20130427

時代の変化をより感じさせたのは、軍部主導の与党USDP党が、敗北を認めたということだ。クリーンな選挙が行われ、軍という暴力装置を握る与党が、これほどすんなりと選挙結果を認めるとは思っていなかった。
25年前の1990年、総選挙がおこなわれ、NLDが圧勝したが結果は完全に無視された。今回の選挙もNLDの圧勝は予想されていたので、与党がどう反応するのかが注目されていた。平穏な政権交代を期待したい。

これは専制からの民主化の歴史的な成功例として記録されるだろう。
今後、どんな展開になっていくのか。
「スーチーさんが国民に人気があるということと政権担当能力があるかどうかは別です」、「政策の選択肢の幅は狭いから、国民の期待はすぐに裏切られますよ」としたり顔でいう識者も多い。私も、これで夢のような政策が実行されるとは思っていない。しかし、国民の多くが待ち望んできたといういみで信頼できる政権が作られようとしている。
ヤンゴンはお祭り騒ぎのようだ。
とりあえず、きょうのところは、斜に構えずに、ミャンマーの民衆に拍手を送りたい。

おっと、こんな記事もある。
《【北京時事】ミャンマー総選挙でアウン・サン・スー・チー党首率いる最大野党・国民民主連盟(NLD)が圧勝し、政権交代の可能性が強まったことを受け、共産党支配体制が続く中国の改革・民主派の知識人らの間でミャンマー情勢に関心が高まっている。・・・》
かの国にも早く変革が起きるように・・