フクシマの問題は若者の問題

種まきうさぎ フクシマに向き合う青春』(ナレーション・大竹しのぶ)という映画を観てきた。
http://www.tanemakiusagi.net/


「2011年、原発事故の被災地・福島の高校生たちが
東日本大震災と福島の姿を知ってほしいと
全国の高校生・若者に呼びかけた。
ビキニ事件の調査学習、マーシャルでの出会い、
福島の農民、漁師たちの大地・海への想い―
核の時代に生きる若者たちのいまを描く。」(映画ちらしより)

映画は、厳しい状況のなかに生きる人々を暖かく見守っていく。

種まきうさぎとは、福島市の西にある吾妻小富士の斜面に、春、雪が解けて表れるうさぎの雪形をいう。これが見えるようになると、農民は苗代に種をまいたところから名前がついた。
若者たちが国内外の人々と交流するなかでまかれた種が、平和の芽を出すようにというメッセージを込めて映画のタイトルにしたという。
森康行監督が企画から3年かけて制作した。森さんは尊敬する先輩で、大学時代から、もう40数年の長い付き合いだ。
夜間中学を描いた「こんばんは」、「小さな共生社会」をつくる新しい働き方を追った「WORKERS」などの作品がある。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20121221

今回の「種まきうさぎ」では、企画段階から相談を受け、私が取材してきたチェルノブイリの映像も提供させていただいた。

きょう午後の上映では、森さんが太田政男・大東文化大学学長をゲストにトークショーがあった。
会場から、三鷹市フリースクール「フリースペース コスモ」の佐藤洋作さんも発言し、とても興味深い若者論が語り合われた。

ひきこもりの人が増えている。
話を聞いてみると、共通するのは「人が怖い」「自信がない」ということ。
人と人との関係が断ち切られ、分裂と対立がひろがり、不安の中に暮らしながらそれを見ないようにしている。
どういう社会を作ったらいいのか分からないまま、「今日明日のしあわせ」に引きこもる。
時代が大きな転換点にあることを感じる・・・と

たしかに、内閣府が昨年公表した日本を含む世界7カ国の13〜29歳の男女を対象にした意識調査では「自分の参加で社会が変えられるかもしれない」と前向きに考える若者の割合は日本が最も低かった。
そのことと若者が内向きになることは、裏表の関係にある。

さらに、こんな話も。
SEALsの中心メンバー、元山仁士郎さんが佐藤さんに、運動を始めたきっかけは3.11だったと言った。
それは、自分たちの命、暮らしが奪われるという恐怖と、自分たちが「加害者」だったことへの済まなさだという。
よくよく考えると、フクシマの問題は、若者の問題なのだ・・と。

いまの若者を考えるさいのヒントが満載されたトークショーだった。

こんどの週末も連日2回のトークショーが多彩なゲストを迎えて行われる。
時間があればまた行きたい。
http://www.tanemakiusagi.net/%E4%B8%8A%E6%98%A0-%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88%E4%BA%88%E5%AE%9A/

なお、同じポレポレ東中野では、このブログでも紹介した『ルンタ』も上映されている。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20150823
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20150902
以下、監督の池谷さんからのメール。
SEALsの学生たちと連続トークをやっているそうだ。
こちらもどうぞ。

《おかげさまで「ルンタ」東京での上映は通算14週のロングランとなりました。
ご好評いただいているポレポレ東中野での上映は11月13日(金)をもって終了いたします。
まだご覧いただいていない方、もう一度ご覧になりたいという方は、どうぞお見逃しのないようお願い申し上げます。
上映は連日18:00です。

ポレポレ東中野での上映ではSEALDsの学生たちと連続トークを行っています。
本日(11/2)は戦争や貧困に苦しむ子供たちを支援するドイツ国際平和村でボランティア活動を行い、アフガニスタンの子供たちと数カ月過ごした経験を持つ佐竹美紀さん(明治学院大4年)。
11/11(水)は、広島や長崎で被爆者への聞きとり調査を続けている安部さくらさん(明治学院大3年)です。
学生たちと一緒にチベットの非暴力について考えたいと思います。

また、うれしいことにダラムサラ国際映画祭での上映が決まりました。
映画「ルンタ」前半の舞台であるダラムサラは、「ルンタ」のナビゲーターを務めた中原一博さんが30年にわたって故郷を失った亡命チベット人の支援をつづけてきたインド北部の町です。
チベット人の心に「ルンタ」がどう響くのか。中原さんはどう迎えられるのか。11/7の上映が楽しみでなりません。》