「コーヴ」に反撃する二人の女性監督

和歌山県太地町(たいじちょう)できょう、国内唯一のイルカの追い込み漁が解禁された。
この記事のとなりに、おや、《「ザ・コーヴ」反論映画 カナダで上映へ》の見出しが・・・

《日本のイルカ漁を批判的に描いた映画「ザ・コーヴ」に対抗し、反捕鯨団体の活動などを記録した映画「ビハインド・ザ・コーヴ」を日本人女性がつくった。カナダで開かれている「モントリオール世界映画祭」で4日と7日に上映される予定だ。
 「ビハインド・ザ・コーヴ」は、東京都内の映画会社代表、八木景子さん(48)が400万円の自費を投じて制作。太地町でイルカ漁を監視する反捕鯨団体シー・シェパードの活動記録やインタビューで構成している。八木さんがカメラを向けると反捕鯨団体のメンバーが一斉にスマートフォンで八木さんの撮影を始める場面や、反捕鯨団体と地元住民や警察が牽制し合う場面がある。》

八木さんは去年11月に、「御社で作ったクジラの番組を見せてほしい」とオフィスにやってきた。その後、何度か私を訪ねてきて、「コーヴ」に反撃する映画を作りたいと熱く語っていた。
名刺には「映画会社」代表という肩書きがあるが、自分一人の会社で、撮影も編集もたった一人でやるのだという。予算は自分の貯金しかないし、そもそも映画を作るのはこれが初めてだという。
きっと挫折するだろうなと思っていたら、つい先日、「映画が完成できて、カナダの映画祭に招待されたんです!」と弾んだ声で電話があった。
映画製作なんてできるだろうかとためらっていたときに、高世さんに「思い切って挑戦しろ」と背中を押されたおかげでやりきることができました、ありがとうございます、という。
え、おれ、そんなこと言ったかな・・・

カナダで日本人の捕鯨の映画が上映されるとなると、必ずいろんな団体がてぐすね引いてつぶしにかかってくるから、心の準備しておきなさいよ。
初めて作った映画が、有名映画祭で上映されて、よくも悪くも大きな話題になるというのだから、大成功といっていい。

いやあ、しかし、蛮勇だなあ。大したものだ。
やろうという強い思いが大事だ、と教えられた。

クジラに関する映画といえば、いま、アメリカ在住の映画監督、佐々木芽生(めぐみ)さんが「バランスのとれた」本格的ドキュメンタリー映画の製作にかかっている。
http://www.sankei.com/entertainments/news/150712/ent1507120013-n1.html
佐々木芽生さん、20年近く前からの仕事仲間でもあり友人だが、彼女も、10年ほど前、いきなり「映画を作りたい」と撮影をはじめた。映画を作るのは初めてですべてが手探りだったが、『ハーブアンドドロシー』という素晴らしい作品を完成させ、多くの賞に輝いた。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20130208

彼女は2010年から太地町の取材に入っていたが、そのきっかけは私の会社が、アメリカやアンティグア・バブーダでクジラの番組を取材したとき、佐々木さんがそのコーディネーターをつとめたことだった。その仕事の過程で、捕鯨に関心をもったという。
こうしてみると、二人の女性監督がクジラをテーマに映画を作ったのには、うちの会社がご縁を提供していたのだなあ。
映画の完成は2016年を予定しているという。

写真は、佐々木さんのブログより
http://megumisasaki.com/