「イスラム国とは何か」10日発売です

takase222015-02-03

はじめに宣伝です。
イスラム国」に3回潜入取材した世界で唯一のジャーナリスト常岡浩介さんの本『イスラム国とは何か』が10日に発売されます。
ここには、安倍政権が触れたくない人質事件の経緯も書いてあります。ぜひお手に取ってご覧ください。私がインタビュー・構成を担当しました。

実は、このかん、常岡さんはテレビ出演の直前に、番組ディレクターまたはプロデューサーから「政府を批判しないでください」との要請を受け、それを無視してスタジオで政府批判を繰り広げ、次第に干されてきた。
要請を断り、その場で「お帰りください」と言われて帰ってきたことも一度や二度ではない。わざわざ時間を工面し、テレビ局まで来たのだから、交通費くらいは出すべきだと思うのだが・・
イスラム国」を3回も取材し、湯川さんの裁判のために「イスラム国」に「招待」された常岡さんが、先日の人質事件のコメンテーターとしてうってつけであることはいうまでもなく、何度もスタジオに招かれたわけだが、ここにきて、政府批判がタブーになっているようだ。何とも不気味である。
テレビ局の実際を知る私からいわせれば、これは番組ごとの判断であって、局としての対応ではないとは思う。某T局でも全くこうした条件をつけない番組があるのだから。
ただ、こういう風潮が広まっていることが非常に問題なのだ、

後藤さんが亡くなったから書くが、後藤さんの取材行の背景をもっと知りたいと思う。
ここからは私の推測だが、後藤さんが「イスラム国」行きをめざしたのは、常岡さんの9月の「イスラム国」取材が大きな影響を与えたからではないか。
常岡さんは、8月の湯川さん拘束を受けて、彼の裁判のために「イスラム国」に招かれてシリア入りした。残念ながらある事情で湯川さんには会えずに帰国した。
このときの取材は、私がプロデュースし、9月にメディアで大きく扱われた。
10月はじめ再度湯川さんへの接触を求めて常岡さんがシリアに向かおうとしたとき、彼は「私戦予備・陰謀罪」なる法律で「参考人」とされ、ガサ入れを受けて、「イスラム国」への旅行はもとより、接触できなくなった。
後藤さんが「イスラム国」入りを目指すのは、この直後である。
イスラム国」が只者でないことは後藤さんはとっくに知っていただろう。それなのに、シリア人コーディネーターの制止を振り切って「イスラム国」入りしたのはなぜか。
テレビ番組の放送日程が決まっていたからではないかというのは、フリージャーナリストの安田純平さんだ。
25日にシリア入りして29日に帰国する予定というのは通常のフリーの行動様式ではないという。きわめて無理な日程だというのだ

実際、後藤案さんがよく使っていたシリア人の案内人には、「1週間戻らなければ家族や県警者に連絡してくれ」と言い、何が起きてもシリア人をうらまないと異例のメッセージを残していた。
山本美香さんのケースも、放送時間に合わせようと無理な日程を組んだことが事故の背景にあったと指摘するジャーナリストは多い。
後藤さんは一日10万円の保険に入っていたとビデオ映像で語っていたが、今回もそうだとすれば、どこかのメディアが「依頼」したと思われる。かなり無理をした「イスラム国」取材の背景に何があったのか。
この行動の後追いは、後藤さんを貶めるためではなく、今後の教訓にするためなのだ。後藤さんの神格化はその役に立たない。