金賢姫と八重子さんのいた招待所を空から見る

takase222014-11-29

きょうは拉致問題で講演してきた。
横浜市「すべての拉致被害者救出を!」神奈川県民のつどいが開かれ、第一部はパネル討論。
なんと、黒岩知事が自らコーディネーター役で進行した。黒岩祐治さんは、もとフジテレビの記者・解説委員で、「新報道2001」のキャスターをつとめていたから、司会進行はお手のものだ。パネラーは、藤田隆司さん(特定失踪者、藤田進さんの弟)、杉野正治さん(特定失踪者問題調査会事務局長)、川添友幸さん(救う会神奈川代表)と私の4人。
きのう、朝鮮中央通信が、以下のような激しい日本批判をした。国連の決議にかなり苛立っているようだ。
北朝鮮朝鮮中央通信は28日、自国の人権侵害を非難する国連総会第3委員会の決議採択を欧州連合(EU)と共に主導した日本について「無慈悲な懲罰の鉄槌を免れない」とあらためて威嚇する論評を配信した。
 論評は日本について「20世紀初めからわが民族の人権を踏みにじった100年の宿敵」と指弾。「日本の政治家は正気を取り戻し行動するべきだ」と主張した。
 決議は北朝鮮の人権侵害について国際刑事裁判所(ICC)への付託検討に言及した厳しい内容。北朝鮮は国防委員会の名義で23日、日米韓を相手国として名指しし「超強硬対応戦に突入する」との声明を出している。》(共同)
ICCは、「国際関心事である重大な犯罪について責任ある個人を訴追・処罰する」裁判所で、これに回されたら、金正恩個人が訴追される公算が極めて高い。ミロシェビッチセルビア大統領のように身柄拘束されて裁判を受けることになる。もっとも、北朝鮮はICCの条約加盟国ではないから、有罪となっても、北朝鮮国内にいる限り安全だが、加盟国に行ったら逮捕されうる。おちおち外遊もできなくなる。
それ以前に、ICCで起訴などされたら、偉大な指導者としての権威が地に堕ちる。28日の論評は、「日本が米国の人権騒動の先頭に立ち、わが共和国の最高利益を侵害していることを絶対に容認できない」とも述べている。
もっとも、安保理では中国とロシアが拒否権を行使するだろうから、実際にはむずかしいのだが。

パネルでは、人権を前に押し出して国際的な圧力をもっと強めるべきだ、北朝鮮当局がいやがることをもっとやって圧力を強めようという発言があった。

講演では20分くらいグーグルアースの衛星写真を見てもらい、対何工作機関がいかに広い敷地に、いかに多くの施設を有しているか説明した。
では、空から見る北朝鮮シリーズ、前回のつづき。
きょうはいよいよ田口八重子さん(リウネ)が工作員金賢姫工作員名、キムオッカ)に同居しながら日本人教育を行った場所を見よう。

前回の金正日政治軍事大学の本校から北東方向の広大な面積に「大学」および工作機関の施設が配置されている。
山中に別荘風の建物が点在するのは「招待所」で、そこに工作員が寝泊まりして訓練を受けたりもする。
北東方向にだいぶ行くと湖のようなものが見えてくる。農業用水を確保する人造湖だ。

  北緯 39°11’45  東経 125°50’00  


こちらから見て左、つまり西の湖畔、ちょっと出っ張ったところに大きな建物がある。
これは金正日の別荘だった。
そして、その向かい、東の湖畔に4つほど建物が点々とある。「東北里招待所」である。
その一つで、二人が1981年7月から1983年3月までの1年8か月にわたって一緒に暮らしたのだった。

「貯水池は外部と断絶されていたためか、とても静かで水が澄んでいた。貯水池の向かい側には護衛局が管理する幾層もの瓦でできた金正日の別荘が松の木の間から垣間見られたが、夕焼けが消えゆく静寂のなかで、向かいの別荘の灯りと犬の吠え声・・・」
別荘が夕陽の沈む側、つまり西の対岸にあることを金賢姫は『忘れられない女(ひと)』に描写している。(文春文庫、P189-190)
(つづく)