「はい、ちゃんと産めます」と自信をもって言う

takase222014-11-09

発売中の『週刊新潮』に、「横田めぐみさんの仲人を務めた北朝鮮『スパイマスタ―』の訃報」というグラビア記事が載っている。
姜周一(カンジュイル)の訃報だった。懐かしい名前である。
朝鮮総連を指導していた工作機関のトップとして知られていた。
記事によれば、北朝鮮の工作機関「対外連絡部」の前部長で享年78。労働党には、工作機関が4つあって、姜は一時「統一戦線部」も監督していた大立者だった。

かつての総連幹部が私たちに姜について証言してくれたことがある。
万景峰号でやってきては、総連幹部を呼び出して「指導」していたという。「姜の船室は決まっていた。いつも船橋の下の階の角の部屋にいて、そこに呼び出された人が入って密談していた」と。

めぐみさんの仲人という情報の信憑性は不明だが、日本人拉致にも関与していた。
自身が連絡部の工作員だった張龍雲(チャンヨンウン)さんは、彼の組織が、田中実さんを拉致したと証言している。(『朝鮮総連工作員―黒い蛇の遺言状』)
また、1997年、ソウルで金正男のいとこである李韓永が銃で暗殺されたが、これは連絡部(当時は社会文化部)の工作員が実行犯だった。

拉致も暗殺もやる組織なのだが、この姜周一、一昨年2月には、平壌を訪問した総連傘下の「朝青」(在日本朝鮮青年同盟)の幹部に「正恩同志の偉大性は講演などでなく、一人一人個別に教育しなければならない」と指示したという。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120402/crm12040208280000-n1.htm
この「朝青」は、朝鮮高級学校(高校)の生徒が加入させられる組織だ。
朝鮮総連朝鮮学校には、こうして北朝鮮の工作機関の指導が浸透している。朝鮮総連本部売却を機に、総連関連組織の秘密が表に出てこないかと期待している。
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写真は、きのう推薦した『知ろうとすること。』
アマゾンでは「原発放射能」のジャンルでベストセラー1位。
以下、内容紹介
福島第一原発の事故後、情報が錯綜する中で、ただ事実を分析し、発信し続けた物理学者・早野龍五。以来、学校給食の陰膳(かげぜん)調査や子どもたちの内部被ばく測定装置開発など、誠実な計測と分析を重ね、国内外に発表。その姿勢を尊敬し、自らの指針とした糸井重里が、放射線の影響や「科学を読む力の大切さ」を早野と語る。未来に求められる「こころのありよう」とは。」

本の題名を「知ろうとすること。」とした背景を二人はこう語る。
糸井 「『わからないから怖い』って不安に思っている人ほど、新しい情報に対してオープンじゃなかったりしますよね。『触らぬ神に祟りなし』って感じで近寄らないようにしてたり、『何が何でも放射線はゼロにしてくれ』って、耳を塞いで言い張ってたり。地球のどこかにいる限り、放射線量はゼロにはできないのに。」
早野 「あと、『わからない』であきらめてるような人って、知識がないわけじゃなくて、震災直後の混乱した中で発表された情報のままで知識が固定されてるんですよ。だから、知識がずっとリニューアルされてない。」

離れた場所に住んでいる人ほど知識が更新されていない傾向があり、「東京の水道でもヨウ素が出たよね、水、危ないね」で固定されていたりする。
また、早野氏は、発信する側の問題として、「危ないデータが出た!」はニュースになるが、「悪いデータは出ていません」、「データが少し改善しました」などはニュースにならないと言う。
メディアが反省すべき重要な指摘である。

さて、福島の女の子が「私は子どもを産めるんですか」と質問してきたら、早野氏はどう答えるか。
早野 「まずは、自信を持って『はい、ちゃんと産めます』と答えます。躊躇しないで。間髪を入れずに。」

自信を持って、躊躇しないで、間髪を入れずに・・・
この答えに、私はちょっと感動した。
(つづく)