6日の午後、ジャーナリスト常岡浩介さんの自宅に、警視庁のガサ入れがあった。
夕方、携帯電話もメールもつながらないので、おかしいなと思い、自宅に電話を入れると、同居人が「いま、警察が来ています」と小声でいう。なんと、ガサ入れの最中だった。
午後4時ごろ、警察官7人(警視庁公安部外事3課)が自宅にやってきて、任意の事情聴取を要求したが、常岡さんはこれを拒否。すると彼らは捜索令状を見せて家探しし、夜8時半ごろ、常岡さんの取材道具をごっそり持って行ったという。
押収されたものは、
ハードディスク3台やSDカードからPC3台、スマホと携帯計8台、ビデオカメラ2台、デジカメ2台、それに名刺、テレビ番組の台本などまで多数。
記録媒体のデータが一番の目的か。
旅券と現金はいったん押収し、あらためたうえで返却したそうだ。
常岡さんが、カメラなどは取材に必要なものだが、いつ戻ってくるのかと聞くと、「捜査の進展によるので、何週間後か、何ヵ月後になるか分からない」と答えたという。
NHKで以下のニュースが流れたが、これとの関連のようだ。
《イスラム過激派組織、「イスラム国」に参加するためにシリアに渡航しようとしたとして、警視庁は、外国に対して私的に戦闘行為をする目的で準備や陰謀をすることを禁じた、刑法の「私戦予備及び陰謀」の疑いで、大学生など複数の日本人から事情を聴くとともに関係先を捜索しました。
日本人がイスラム国に参加しようとした動きが明らかになるのは、初めてです。
事情聴取を受けているのは、北海道大学に通い現在休学中の26歳の男など複数の日本人で、警視庁は6日、杉並区などにある男らの関係先を捜索しました。
警視庁の調べによりますと、このうち大学生はイラクやシリアで勢力を拡大するイスラム過激派組織「イスラム国」に戦闘員として加わるために、シリアに渡航する計画を立てたとして、外国に対して私的に戦闘行為をする目的で準備や陰謀をすることを禁じた、刑法の「私戦予備及び陰謀」の疑いが持たれています。
警視庁によりますと、この大学生はシリアに渡航する求人に応募し、渡航を計画したということで、任意の調べに対し「シリアに入ってイスラム国に加わり、戦闘員として働くつもりだった」と話しているということです。
私戦予備及び陰謀罪にあたる場合は、3か月以上5年以下の禁錮に処せられます。
警視庁は、関係者から事情を聴いて詳しいいきさつを捜査する方針です。
日本人がイスラム国に参加しようとした動きが明らかになるのは、初めてです。》
「私戦予備及び陰謀罪」とは―
《外国に対して私的に戦闘行為をする目的で、その準備や陰謀をする罪。刑法第93条が禁じ、3か月以上5年以下の禁錮に処せられる。ただし、自首した者は刑が免除される。私戦予備罪。陰謀罪。》
こんな罪があるとは知らなかった。これは危うい。
「準備や陰謀」では、解釈次第で、何でも引っかけられてしまう。
常岡さんは、あくまで取材でイスラム国に接触してきたのであって、本人も「イスラム国のやっていることには、一片も賛同できるものがない」とテレビでも主張し、イスラム国を厳しく批判してきた。
(9月14日フジTV[Mrサンデー」、9月20日NHK[週刊ニュース深読み」、9月25日テレビ朝日「報道ステーション」、10月2日テレビ朝日「モーニングバード」、10月4日フジTV「新週刊フジテレビ批評」)
取材に必要な機材を押収された常岡さんは、予定していた取材をキャンセルせざるをえなくなった。
乱暴な取材妨害だと常岡さんは憤慨している。
常岡さんのPCやカメラ、携帯などのデータから、捜索対象が広がる可能性もある。また、情報が外国の公安当局に渡った場合、空港で入国を制限されたり、行動がマークされたりする恐れもある。
いま常岡さんは仲間と今後の対応を検討している。
みなさんもこの問題に注視を。