不幸は自らが選んだもの

takase222014-06-26

月末で資金繰りに追われて帰宅したら、高校時代の友人T君から送られてきたさくらんぼがあった。
うれしいねえ。我々は桜桃(おうとう)と呼ぶが、その季節になったのか。
味わっていると、テレビで、人口減少率の高い県は、上から秋田、青森、山形の順だというニュースが・・・。山形は三番目じゃないか。
地方自治体の半数が「消滅可能性都市」だとする「増田リスト」の発表で、何とかしなくてはと思っていた。
http://www.nikkei.com/article/DGKDZO71348670W4A510C1ML0000/
集団的自衛権じゃなくて、こっちの方が大きな問題だと思うのだが。
・・・・・
アドラー心理学がブームのようだ。
『嫌われる勇気』のベストセラーがきっかけになったらしいが、最近、雑誌にもよく登場している。
私は10年くらい前、アドラー心理学が「よく効く」と聞いて、少しづつ勉強してきたので、これに注目が集まってうれしく思っている。
教育界ではその有効性の高さから教師たちの勉強会などでもアドラー心理学は存在感を示してきたと聞く。

成功した起業家が最も影響を受けたとして必ずあげる本に『七つの習慣』がある。ある若い女性の社会起業家が「ダメ人間だった私がこの本をボロボロになるまで読んで、人生が変わりました!」とキラキラした目で確信をもって言うのを聞いて、感化されやすい私はすぐに本屋に走っていって買った覚えがある。これを書いたコヴィーもアドラー近い考えを説いているという。
人生観を変える思想の一つだと思う。

アドラーは、日本ではこれまであまり知られてこなかったが、フロイトユングとならぶ心理学の「三大巨頭」だ。
私は心理学をちゃんと学んだことはないが、フロイトの『夢判断』を読んだとき、あらゆることを「性」に帰着させるのにどうしても納得がいかなかった。その点、基本的な考え方の枠組みはアドラーが非常に説得的だと思っている。

先週号の『週刊ダイヤモンド』(6月28日号)がアドラー心理学の特集を組んでいる。
冒頭をちょっと紹介しよう。
《怒る上司や困った部下にも悩まない 仕事に効く!「アドラー心理学」》
希望しない人事異動、大声を出して怒る上司、ミスばかりする部下……。仕事の悩みは尽きないものだ。しかし今、対人関係の悩みを解消し、前向な思考が得られる「アドラー心理学」が注目されている。大手家電メーカーに勤める、ある課長は、仕事への悩みを誰にも打ち明けられないでいた。そこで、アドラー心理学の教えを説く「哲人」を訪ねた。

哲人 今日はよく来てくれました。そう、世界はシンプルなところです。しかし、最初に言っておきます。あなたの抱える課題を解決できるのは、あなただけです。私はその手助けをすることしかできません。

課長 まぁいいでしょう。とにかく私の悩みを聞いてくださいよ。実は、人事異動で希望していない部署に飛ばされまして……。それから、全くやる気が出ないのです。

哲人 ほう。なぜ、ですか?

課長 やりたくない仕事だからですよ。

哲人 今の私にやる気がない(結果)のは、部署の異動(原因)によるものだ、と。そういうことですね?

課長 その通りです。前の部署では真剣に働いていたのですから。

哲人 さて、もしあなたがおっしゃるように、全てのビジネスマンが、仕事の内容によってモチベーションを決めているのだとしたら、おかしなことになりませんか?
 希望しない部署に異動したにもかかわらず、高いモチベーションを保っている人は居ないのでしょうか?

課長 そりゃあ、居ると思いますけど。

哲人 彼らも希望しない部署に異動したのだから、仕事内容に満足しているわけではない。しかし、異動後にもやる気を持って働く人とそうでない人が居る。アドラーはこれを「目的論」で説明します。

課長 目的論? どういうことですか?

哲人 あなたはやる気のなさを、仕事内容という「原因」のせいにした。しかしアドラーは物事を原因ではなく目的で説明します。
 あなたは、「仕事の内容が不満だから、やる気が出ない」のではありません。「やる気を出したくないから、仕事内容への不満を列挙」しているのです。
課長 はっ?

哲人 つまり、あなたには「やる気を出さない」という目的が先にある。そしてその目的を達成する手段として「仕事の内容に対する不満」を挙げている。これが目的論です。

課長 先生、私をばかにしているのですか?なぜ「やる気を出さない」ことを目的にする必要があるのですか? そんなわけはない!

哲人 では、こう考えましょう。新しい部署で、一生懸命に仕事に打ち込み、もし結果が出なかったらどう感じますか?

課長 そりゃあ、つらいですよ。必死に働いて結果が出なかったら、自分の限界が分かってしまいますからね。

哲人 自分の限界を知りたくない。それがあなたの本当の目的です。だからやる気を出さない理由を探しているのです。

・・以下略・・

(もっと読みたい人はhttp://diamond.jp/articles/-/55025?page=2

アドラー心理学では、「いまのあなたが不幸なのは自らの手で『不幸であること』を選んだからなのです」というのだ。(『嫌われる勇気』P45)

身も蓋もないというか、逃げ場のない分析である。
しかし、最後は勇気をもって人生に立ち向かおうと呼び掛けている。

関心のある方は「すぐに効く」アドラー心理学をどうぞ。「劇薬」かもしれないけど。