立憲主義とは

takase222014-06-25

日曜22日は「Mrサンデー」で振り込め詐欺の最新手口の特集の放送だった。
それで週末は編集のため、フジテレビに詰めていた。
お台場は観光名所で外国人も多い。まるでSFの未来都市のような風景が広がっていて、ふとここはどこの国なのかと不思議な感覚に襲われる。
編集スタジオはダイバーシティというビルの中にあり、その前庭に巨大なガンダムが立っていて夜まで家族連れでにぎわっていた。夜の雰囲気もシュールである。
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新聞の大見出しに《集団的自衛権容認で大筋合意 公明、文言修正で妥協》とある。
「自民、公明両党は24日の与党協議で、憲法の解釈を変えて他国を武力で守る集団的自衛権を使えるようにすることで大筋合意した。自民が集団的自衛権の行使を認める閣議決定の原案を示したのに対し、公明はおおむね受け入れた。両党は憲法9条のもとで専守防衛に徹してきた日本の安全保障政策を大転換する。」
公明党は「自民党のブレーキ役」を任じていたのではなかったか。「私も弁護士のはしくれだ」と言っていた山口那津男代表はどうしたのか。
結局、連立から離れたくないから受け入れるというわけだ。
多様な意見を売りにしている自民党の中から目立った異論が出ないまま、「粛々と」内閣による容認へと進んでいくのが不気味である。

21日の「報道特集」で集団的自衛権について特集を組んでいた。
そこに、水島朝穂早大教授が登場して、この日記の12日に紹介した「紛争国から逃れようとしているお父さんやお母さんや、おじいさんやおばあさん、子どもたちかもしれない、彼らが乗っている米国の船」という想定があり得ないことを語っていた。
水島教授の『はじめての憲法教室〜立憲主義の基本から考える』(集英社新書)は今の状況を考える上で、読んでためになる本なので紹介しておきたい。
《「憲法とは何か」という肝心な点を置き去りにしたまま、「護憲か、改憲か」に論点が性急に収斂させられ》る現状を危惧し、憲法に関する最小限の共通認識をもつことができるように書かれている。

憲法とは何か。それは、《第一義的には、国家権力を制限する規範であり、国民が国家権力に対して突きつけた命令である》。
この点で、護憲派のバイブルとされる『あたらしい憲法のはなし』(文部省・中学1年生社会科教科書、1947年刊)には決定的な欠陥があると指摘する。『はなし』には「みなさんは、国民のひとりとして、しっかりとこの憲法を守ってゆかなければなりません」という記述があり、これでは、憲法は「わたしたちみんなが守るもの」と刷り込まれていく。
実は、《憲法は「国民みんなが守る大切な決まり」ではなく、「国民みんなで権力を制限する大切な決まり」ということになる》。この点で、憲法は法律とは一線を画す。
国民ではなく権力が守らなければならないのが憲法であり、《こうした憲法に基づく国のありようを「立憲主義」という》。
この本では、「立憲主義」が近代国家にとっていかに重要な原則であるかを歴史を踏まえながらさまざまな角度から説いている。読みやすく分かりやすい本である。
いま安倍首相が狙う、内閣による集団的自衛権行使容認という解釈改憲が、この「立憲主義」の原則を乱暴に踏みにじるものであることはいうまでもない。
集団的自衛権行使に賛成の人でも、この点では一致できるはずである。