タイのクーデターは「お墨付き」なし?

takase222014-05-25

夕方、近所を歩いていたら、道端に月見草が咲いていた。
はやいな、もう夏か。
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タイは結局クーデターになってしまった。
《(首相の)インラック氏のほか、タクシン氏の一族やタクシン派指導者を多数含む計155人に出頭を命じ、許可のない海外渡航を禁止した。》
とりあえず反タクシン派(守旧勢力)の勝利である。
ところが・・
《首相職を兼務するプラユット陸軍司令官は23日、政府高官らを集めた会議で「(クーデターは)誰からの指示も受けていない」と述べ、王室は関わっていないと説明した。過去のクーデターで軍は、直後に国王の「承認」を求めており、極めて異例だ。》(朝日新聞
国王を巻き込んで傷つけたくないという「配慮」だが、これは同時に国王の「お墨付き」がないということになる。国王の権威づけなしに軍はやっていけるのか。
もちろん、王室が関わっていないわけはないのだが、表に出せないほど、危機が進行していると見るむきもある。
軍が考えている民政復帰へのコースは、選挙によらない反タクシン派の「政府」を作ってタクシン派の勢力をさらに弱めたうえで総選挙といったところだろうが、かなりの混乱がありそうだ。国王の健康状態如何によっては、体制そのものが危うくなりかねない。注視したい。
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先日紹介した宇出津事件(1977年9月19日)を報じた朝日新聞の記事は、こう続いている。
《警視庁や石川県警など公安当局は、なぜ日本人を北朝鮮に送り出す必要があったのか、などについても、詳しく調べているが、久米さん自身を工作員として使おうとしたのか、あるいは久米さんの密出国がわからなければ、北朝鮮工作員が久米さんになりすまし、わが国での情報工作や韓国への密入国なども可能になるわけで、こうしたねらいから久米さんをあえて工作したのではないか、と推測している。また、Aの周辺には日本人を工作して北朝鮮へ送り出す非公然組織が存在しているとみて捜査を続けている。》
朝日新聞1977年11月10日付朝刊)
事件が起きたのが9月19日で朝日の記事が出たのが11月10日。その5日後の11月15日、横田めぐみさんが拉致された。
宇出津事件が大きな社会的関心を呼んでいたならば、北朝鮮が慎重になるなどして、めぐみさんは拉致されなかったかもしれない。
だが、朝日新聞の記事が社会面トップの扱いだったのに、大きな反響はなかったようだ。他のメディアが後追いすることもなかった。
なぜなのか。
それを知りたくて、記事を書いた松村崇夫記者を訪ねた。
(つづく)