怒号を浴びせられたスーチーさん

takase222013-03-17

 ご無沙汰しました。
 昨夜深夜、ミャンマーとタイへの10日間の出張から帰ってきました。
 ヤンゴンでは、アウンサンスーチーさんの自宅に行った。今月10日のNLD(国民民主連盟)党大会で党首に選出されたばかり。かつてその上に乗り出して演説していた門には黄色い横断幕が張られ、父親のアウンサン将軍の肖像も飾られていた。撮影していると次々に外国人ツーリストがやってくる。いまや観光名所だ。空気の変化を実感する。
昔は、タクシーの窓ごしにビデオカメラをそっと出して走りながら撮影したこともあったのに。
写真に写っているのは日本人の学生らしい一行。
ジャスミンの鉢植えを携えてきたベルギー人の女性もいた。スーチーさんにプレゼントしたいのだといって、閉まった門の前に置いて帰っていった。
守衛を呼び出して「きょう、スーチーさんは在宅ですか」と聞くと黙って首をふる。あとでTVニュースで知ったのだが、スーチーさんはそのとき、いま中国企業による銅山開発で騒動が起きている地方に行っていたようだ。
そこでは、スーチーさんが住民に囲まれて抗議されるという、これまでには見られなかった事態が起きたという。
ミャンマー中部の銅山開発をめぐり、野党党首アウンサンスーチー氏が委員長を務める調査委員会が、報告書で「事業継続」の結論を出したことに地元住民が猛反発している。現地に説明に訪れたスーチー氏は反対派の住民に取り囲まれ、怒号を浴びせられた。
 現地からの報道によると、モンユワのレッパダウン銅山周辺の村で14日、住民約300人が訪れたスーチー氏に「私たちはアウンサンスーチーも銅山も要らない」と叫んで抗議した。別の場所ではスーチー氏の車列が住民約500人に一時取り囲まれたという。
 銅山開発は国軍関連企業と中国企業の共同事業で、軍事政権下の2010年に契約が結ばれた。昨年、土地収用への不満や環境への懸念から住民らの反対運動が盛り上がったが、11月に治安当局が弾圧し、100人以上のけが人が出た。》
朝日新聞
これまでは反体制の立場で、基本は「何でも反対」でよかったのだが、今や政権と一緒になって国家を統治する側に回っている。
たしかに一定の民主化はしたものの、議会の25%を軍人に与えるという体制であり、少数民族との戦闘がいまも続く。現政権への国民の拒否感はいまだ強く、スーチーさんの立ち位置は非常に難しい。
海外の投資家は、ミャンマーを「最後のフロンテイア」と呼んでいるらしいが、この国の政情はけっして安定していない。