稲荷神社の修復に1000万円の寄付

takase222013-02-05

朝日歌壇の先週分。松田姉妹がともに入選。
晦日そうじしたての部屋で読む芥川龍之介の「蜜柑」
              松田梨子
初レッスンくす玉が割れる瞬間に似たハイドンソナタを弾こう
              松田わこ
梨子さんの理知的な歌風、わこさんの直感的な比喩。個性がだんだん目立ってきたように感じる。
アメリカで刑に服する郷さんも入選。
こんな夜はおでんやおじやが旨かろな雨に濡れつつ獄庭(にわ)を歩けば
              郷 隼人
異国の刑務所の冬は、望郷の念がつのるだろうなあ。
・ ・・・・・
ブログの読者に報告しなくてはならないことがある。
『神社は警告する』を一緒に書いた熊谷航くんが、コミュニティの核として南相馬市北萱浜地区の神社を復興するプロジェクトに取り組んでいることはすでにお知らせした。そして、修復費用500万円のうち自分で250万円をネット募金で募っていたことも。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20121113
結果は目標額に届かず、失敗した。募金はすべて返金される。
志は大きかったのだが、残念だった。
ところが、である。
《ミラクルが起きました。》と熊谷君がブログに書いている。
《1月22日付の読売新聞にて、この寄付の内容を掲載いただきましたところ、ものすごい反響と寄付金が、連絡先となっていた北萱浜地区代表・林さんの元へ届きました。
同様に、熊谷の元へもたくさんのご寄付を頂いております。
細かい集計はまだなのですが、寄付金の合計が概算で1千万円前後に達する見込みとなっています。
皆さまと、復興を見守ってくださっている神様のおかげさまで、稲荷神社の修復が可能な額となりました。寄付の目標額250万円はおろか、工事予定額500万円を大きく上回っております。
(略)
奇跡のような展開にいまだ戸惑っておりますが、皆さまのあたたかいお気持ちによって、このような結果となりましたことに感謝してもしきれません。
もちろん、神様にも感謝です。
本当にありがとうございました。》
http://ameblo.jp/jinja311/theme-10064732023.html

ネット募金が失敗したことを聞いた記者が記事を書いたのだという。
失敗はしたものの、熊谷君が北萱浜地区に入り、住民と一緒に悩み、250万円を自分で集めてみせようというあの勇気ある行動をしなかったら、この「奇跡」も起きなかった。
物事はこういうふうに起こるんだな。
熊谷君が先日福島から上京したさい、会って話をしたが、彼は今このプロジェクトにますますのめりこんでいる。
「被災地に入って復興を支援するというのは、自分の『使命』じゃないかと思うんです。最近周りで起きることが、みんな自分にそうすべきだと言っているみたいです」という。
「おお、それはきっと君の使命だよ。使命に生きなさい」と私も応援した。
素晴らしい使命にめぐりあってラッキーだね、熊谷君。