日本の送電網は串だんごとスパゲッティ

takase222012-06-04

メダカを飼っている鉢にアサザの花が咲いた。
うちのは、朝早くはまだつぼみで、9時ごろから咲き、午後にはしぼむ。この花を見ながらメダカに餌をやるのは、とてもいいものだ。
・ ・・・・・
朝日歌壇にわこさんの歌。
母の日にパパが作ったタコ焼きはたまにタコ2個たまにタコなし                       松田わこ(高野、馬場選)
松田家の団欒は実に楽しそうだな。
・ ・・・・・・
去年、チェルノブイリの取材をしたが、そのあと講演依頼がきて、いろんなところに引っ張り出されている。大学の講義に呼ばれることも多く、これまで専修大学東京大学明治大学で話をした。(大学と名がつくものだと、「シルクロード雑学大学」というところでも話をしたことがある)
はじめに日本の電力システムを説明することが多い。このブログの「電力自由化を勉強しよう」シリーズで書いてきたようなことだが、「事故を起こした福島第一原発は、東北にあるのに、どうして東京電力のものなんでしょう」という話をふると面白がって聴いてくれる。日本の電力システムは非常に不思議な、というか特異な形になっている。
ちょっとお勉強になるが、以前、ある雑誌に書いた文章から引用する。
これは、風力や太陽光など自然エネルギー発電を、「変動」するとの理由で、電力会社が敬遠することについて解説したものだ。
《どの電力会社も、「風まかせ」の電気は変動するので扱いにくいということを最大の理由に受け入れを嫌がる。需給バランスを保てないというのだ。
このクレームを検討してみよう。
たしかに、電力消費が小さい地域のなかでは変動吸収は難しいかもしれない。しかし、東京のような電力需要が大きい地域とつないで電気を融通しあえば、変動吸収は難しくないはずだ。また、送電線網が広く網目状になっていれば変動吸収に有利である。
だが、そこに立ちはだかるのは、地域独占という問題だ。
日本の送電線網は、十の電力会社が分割して所有・運営する。自社の管内では、送電線は網目状に整備され、管内の需要を管内の供給でまかなう、自己完結型の運用を行っている。各社同士をつなぐ送電はというと、1本か2本の送電線(連系線)でしか結ばれていない。津軽海峡の下には、北海道電力東北電力の間を結ぶ「北本連系線」が通っているが、送電可能量はわずか60万kWにすぎない。
東京電力東北電力の間は、たった一本の「相馬幹線」という連系線(500万kW)でしかつながっていない。東北電力管内の福島県東京電力管内の茨城県の長い県境の自治体同士では送電・配電網が断絶しているのである。まるで「不可侵条約」である。
この送電網の姿は、だんごを串に刺したような形になるので「串刺し型」と表現される。
その一方で、遠く離れた発電所消費地が直結するという奇妙な構造がある。福島第一原発の事故が起きて「あれ、福島県なのに、どうして東京電力発電所なの?」と不思議に思った人も多いだろう。
新潟県柏崎刈羽原発の電気も、もっぱら東京電力に送られる。新潟県東北電力のエリア(新潟県中部地方なのだが東北電力の管内)だが、原発の電気は柏崎市の隣町や中部電力管内の長野県には供給されずに東電エリアに直行するのである。
関西電力が作った黒部ダムの電気は関西へは直通しているが、地元の北陸電力中部電力のエリアには供給されない。
世界のエネルギー事情に詳しい飯田哲也さんは、これを「スパゲティ状態」と形容した。(『今こそ、エネルギーシフト』(岩波ブックレット))
「串刺し型」で「スパゲッティ状態」の送電網では、風力や太陽光など自然エネルギーの「変動」を吸収しにくいのは当然である。》
発送電の分離が本格的に議論されてきた。将来的には、「串刺し」と「スペゲッティ」も変えなくてはならない。