電力自由化を勉強しよう

年末、いきなり「発送電分離」などという言葉が新聞の一面を飾った。
枝野幸男経済産業相は27日、年明けから本格的に検討する電力制度改革の論点を関係閣僚会議に提出し、公表した。競争的で開かれた電力市場にするため、電力会社から送配電部門を切り離す「発送電分離」などを論点に掲げた。2013年の通常国会での電気事業法改正案の提出をめざす》(朝日新聞12月28日)
政府がここまで踏み込んで電力の自由化をやる決意を示したのは初めてだと思う。いよいよ自由化が本格化しそうだ。
この問題に詳しい人によると、「電力自由化」とくに「発送電分離」は、制度設計次第では、日本の電力供給体制を根本から変え、再生エネルギーへの転換を促進し、脱原発を一気呵成に進める切り札になりうる。
もっというと、「国のかたち」を変えてしまうくらいのインパクトを持つという。
こうなると、いわゆる「原発マフィア」が激しく巻き返してくるはずだ。
すると、今朝の朝刊にこんな記事が・・・
《政府は17日、原則40年で廃炉にすると公表していた原発の運転期間について「20年を超えない期間、1回に限り延長を可能とする」との方針を新たに明らかにした。今月6日に細野豪志環境相が「40年で廃炉」方針を公表した際には例外もあり得るとの見解を示していたが、年数は明らかにしていなかった》(毎日新聞
あらら、こないだ40年で終わりと言ったばかりなのに。もう、巻き返しははじまっているのだろう。
電力の自由化は、間違いなく、今年の最も重要な政治的テーマの一つになる。
非常に重要な局面になっているのだが、しかし、多くの日本国民にとってはピンと来ないかもしれない。
いま私たちは、東京電力関西電力など電力会社が地域ごとに1社だけ存在し、発電所から送電、各家庭への配電までを一貫して担う「発送配電一体」体制の下にある。東京に住む私は、いやおうなしに東電と電気供給の契約をしなければならない。
物心ついてからこのかた、これを当たり前のものとして暮らしてきたため、これ以外のシステムがイメージしにくいからだ。
そこで、ここで付け焼刃ながら勉強していきたいと思う。

ところで、今でも自由化は一部だが実現している。
電力会社を管轄するのは経済産業省だが、その霞ヶ関のオフィスでは、東京電力の電気を使っていないことをご存知だろうか。
経産省のホームページによると、どこから電気を買うかは、平成12年(2000年)から入札で決めているという。
ちなみに、過去の落札者は以下の通り。
平成12年〜平成14年、「ダイヤモンドパワー
平成15年〜平成16年、「ジーティーエフ研究所」
平成17年、「エネット」
平成18年、「GTFグリーンパワー」
平成19年〜平成21年、「エネット」
今年度は、東電、丸紅、エネット、イーレックス、F−Powerの5社が入札に参加し、「丸紅」が落札している。
(「経済産業省総合庁舎で使用する電気の入札結果について」http://www.meti.go.jp/press/20100226004/20100226004-2.pdf
経産省のオフィスでは、今年度つまり3月までは「丸紅」からの電気を使っているのである。
「丸紅」が電気を売っているとは、いったい何ごと?
(つづく)