相次ぐチベット僧の焼身抗議

takase222011-12-09

中国の四川省を中心に、チベット僧が次々に焼身自殺している。
友人の三浦小太郎さんから以下の記事がとどいた。
書いたのはツェリン・ウーセルというチベット人女性だ。
《2009 年以降13人の僧侶、尼僧が抗議の焼身を行った。もっとも悲惨だったのは先月35歳の尼僧パルデン・チュツォの焼身シーンだった。ビデオは3分もない。始 まるや、人は驚愕する。若い女性の身体全体が炎に包まれている。しかし、彼女は、燃え上がる松明のようにまっすぐ立ったままだ。涙が雨のように溢れ出、顔を両手で覆うしかなかった。
最初、私は彼女が炎から抜け、前に進み出て、法王の名を叫んでいるように感じた。しかし、もっとよく見ると彼 女は一歩も前に踏み出すこともなく、少し前屈みになっただけで、立ちすくんでいた。周りの人々は、激しい炎が彼女の生気を奪う間、なす術もなく叫びを上げるばかりであった。若き尼僧が崩れ落ちた時、彼女は敬虔に両手を合わせたままであった。
私はビデオに写っていたチベット服を着て一言も叫ばなかったチベット人女性でありたいと思う。彼女は炎に包まれるパルデン・チュツォに近づき、敬意の印に白いカタを投げかけた。
共産党はなぜこのようなことが起こるのかを理解しない。独裁者が信じるものは銃と金のみ。彼らは自分自身へも信を置かないし、偉大な利他的行為に人を導く信仰の力も理解できない。
チベット人は命を粗末にするほど馬鹿ではない。そうではなく、彼ら僧侶や尼僧を絶望の底に追いやり、焼身の炎を点火させたのは彼ら独裁者である》
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51717789.html

この事件が起きたのは11月3日。7日には、訪日していたダライラマ法王が東京でコメントしている。
《来日したチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は7日、中国・四川省チベット仏教の僧侶が焼身自殺を図るケースが相次いでいることについて、「文化的虐殺」が行われていると述べ、中国政府を厳しく批判した。
ダライ・ラマは都内で行われた記者会見で、四川省チベット族自治州では「文化的虐殺」が発生しているとし、多くの漢民族を含め、同州への訪問者は「ひどい様子だとの印象を受けている」と指摘。また、中国当局は過去10─15年間にわたってチベットに強硬政策を取っているとし、こうした絶望的な状況が、チベット僧の焼身抗議につながっているとの見解を示した》(ロイター)
焼身抗議の原因は、中国政府による民族・宗教の弾圧、言論・表現の自由の抑圧である。焼身の動画を見て圧倒された。
http://www.youtube.com/watch?v=SL55tEuORd8
尼僧は、自らの身が炎に包まれても直立したまま動かない。しばらくして前のめりに倒れたが、そのとき、白い布(カタ)を差し出した女性がいる。その女性はこの行動を事前に知っていたのか、落ち着いている。映像全体から、尋常でない決意が読み取れる。
(写真は生前のパルデン・チュツォさん)
つい先日も、チベット僧の焼身があった。
《中国チベット自治区チャムド県で(12月)1日、46歳のチベット族僧侶が焼身自殺を図り、重体になった。米政府系ラジオ局ラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えたもので、今年3月以来、政府のチベット政策に抗議するチベット僧が自殺を図ったケースは12件目》
普通でない事態が進行していることは間違いない。
中国でこんなに大変なことが起きているのを知っている日本人は、どれだけいるだろうか。
日本のメディアももっと大きく取り上げてほしい。
(つづく)