死の灰は「無主物」?

takase222011-12-10

よく晴れて、皆既月食がよく見えた。
皆既月食の過程全体を全国で観測できるのは11年ぶりだそうだ。次は2014年だというが、天気の条件もあるから見られるとは限らない。
自分にとって、これが最後の皆既月食かも、と思ってしまう。
でも、考えると、毎日毎日、一瞬一瞬が、繰り返しのきかない特別な日であり、瞬間なのだ。しっかり生きないとな。夜空を見ていると、いろんな思いが沸いてくる。
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さて、朝日新聞は歌壇と俳壇が好きだが、「朝日川柳」も独特だ。
新聞をよほど読みこんでいないとついていけない場合がある。
おととい(8日)はこんなのが載っていた。
腹ペコで絶叫マシンに乗ってます  (今治市 武田公治)
分かりますか?
これは、北朝鮮将軍様を揶揄したものだ。
北朝鮮金正日総書記が、平壌市の凱旋青年公園を視察した。朝鮮中央通信が4日深夜に伝えた。昨年4月に全面改装された同公園は、垂直落下型やブランコ型などの絶叫マシンが売り物で、市民に大きな人気という。
 金総書記は随行した部下に遊具に乗るよう指示。随行者たちが「たまった疲れが吹き飛びます」と報告すると、とても喜んだという。そのうえで「最も重要なのは、設備点検と管理を責任を持って行うことだ」と指示した。
 同公園にある10種類の乗り物全てを利用すると1600ウォン(闇レートで約0.4ドル=約31円)。平壌市民の平均月給とされる3千ウォンの半分以上に相当する。
 同通信は「人民のより幸せな生活のため、日曜日まで捧げた敬愛する将軍」と報道。金総書記が4日に視察したことを示唆したが、一般市民が同日、遊園地を利用できたかどうかは伝えていない》(6日、朝日)
ドル換算すると月給が1ドルに満たない市民に、絶叫マシンを勧めてくださる、慈悲深い将軍様なのである。

きのう(9日)選ばれた川柳は;
ああそれは無主物ですと犬のフン  (東京都 尾根沢利男)
これは笑えた。
朝日が「プロメテウスの罠」という原発関連のシリーズを連載中で、先月24日にこんな記事が出た。
放射能はだれのものか。この夏、それが裁判所で争われた。
 8月、福島第一原発から約45km離れた、二本松市の 「サンフィールド二本松ゴルフ倶楽部」 が東京電力に、汚染の除去を求めて仮処分を東京地裁に申し立てた。
 ―事故のあと、ゴルフコースからは毎時2〜3マイクロシーベルトの高い放射線量が検出されるようになり、営業に障害がでている。責任者の東電が除染をすべきである。
 対する東電は、こう主張した。
 ―原発から飛び散った放射性物質は東電の所有物ではない。したがって東電は除染に責任をもたない。
 答弁書で東電は放射能物質を「もともと無主物であったと考えるのが実態に即している」としている。 無主物とは、ただよう霧や、海で泳ぐ魚のように、だれのものでもない、という意味だ。つまり、東電としては、飛び散った放射性物質を所有しているとは考えていない。したがって検出された放射性物質は責任者がいない、と主張する。
 さらに答弁書は続ける。
 「所有権を観念し得るとしても、 既にその放射性物質はゴルフ場の土地に附合しているはずである。つまり、債務者 (東電) が放射性物質を所有しているわけではない」
飛び散ってしまった放射性物質は、もう他人の土地にくっついたのだから、自分たちのものではない。そんな主張だ。》
常識的には、東電が、自分が撒き散らした放射性物質を片付けるのは当然のように思うのだが、裁判所はゴルフ場の訴えを退けたのだった。
なぜ?
(つづく)