モニタリングポストはなぜ高い所にあるのか

takase222011-05-26

10日ほど前、友人から、政府が発表する各地の放射線の値が低すぎるとのメールが届いた。
《政府が発表する各地のモニタリングポストの放射能レベルの計測値。どうも納得がいかないんです・・・。
私の持っているガイガーカウンターRM-2021(中国製)の数値と、モニタリングポストの数値があまりにも違いすぎるんです。
例えば、5月14日の神奈川県のモニタリングポストの計測値は 0.065μSv/h
でも私のRM-2021で30秒間のサンプリング数値では常に 0.15μSv/h 前後なんです。
もしかして、私のガイガーカウンターが壊れているのか? と、心配になり、もう一台ガイガーカウンターを入手しました。
FJ3200という機種で5分間のサンプリング測定の機種です。
早速、電源入れ5分間サンプリングした数値は、RM-2021と同じような 0.15μSv/hの数値でした。試しに別の場所でも2台で測定してみても、多少の誤差はありますが、殆ど2台共同じ数値が測定されました。
つまりRM-2021は故障していないと、いう事になります。で、この誤差の原因を色々と調べてみました。
すると、各地に設置されたモニタリングポストに測定位置が非常に高い位置に設置されている事が判明しました。
これでは、正確な数値は出ません。むしろ風通しが良く高い位置であれば、地面よりかなり低い数値が測定されて当然なのです。
こんな、いい加減な測定値を信用していると、足柄茶のように、原発から離れている場所でも被ばくしている事に気づかなくて当然です。
ちなみに下記が判明したモニタリングポストの設置高さです。
茨城県 北茨城/高萩/大子   約1.3m
栃木県 宇都宮        約20m
群馬県 前橋          約20m
埼玉県 さいたま        約18m
千葉県 市原          約7m
東京都 新宿          約18m
神奈川県 横浜        約23m》

えっ、ホントですか?
たしかに調べると高いところにあるものが多い。(写真は名古屋のモニタリングポスト)
20mといえば5階建てビルの屋上くらいの高さだ。
計測地点が地表から離れれば放射線の値は当然小さくなる。
しかし、人体への影響を考えて計測するのなら、地表に近いところの値を測るべきだと思う。
ネットでは、この問題がかなり取り上げられていて、私も調べなくてはと思いながら日が過ぎてしまったが、今朝の東京新聞にこの問題が取り上げられていた。
《首都圏で、茨城の放射線量がいつも他都県より高いのはなぜ? 文部科学省が毎日公表している計測装置「モニタリングポスト」の各都道府県の数値。福島第一原発からの距離だけでなく、装置の設置場所が他地点より地表から近いため、高さも関係があるようだ。文科省は、高さが違う理由を各地に任せているためとするが、地表に近いほど数値が上がるのは確か。文科省より地表に近い高さで独自に計測した数値を公表している専門家もいる。
Q 茨城の数値は。
 A 水戸は現在、毎時〇・〇〇〇一ミリシーベルト前後と他の六都県の二倍前後の値が計測されている。計測装置は高さ三・五メートルにあって地表から最も近い。
 Q 地表から近いとなぜ高いの。
 A 周辺が土かコンクリートかなどの環境にもよるが、地表に近い観測点ほど土壌に吸着されるなどした放射性物質の影響を受けやすいと複数の専門家が指摘している。
 Q 装置はどこが設置したのか。
 A 文科省の委託で都道府県が設置し、データ計測の費用は文科省が負担する。一九五七年、核実験による放射性物質の拡散が問題になり、設置が始まった。各都道府県に順次設置され、八六年のチェルノブイリ原発事故や九九年のJCO臨界事故を機に全国に態勢が整った。
 Q 設置場所の高さが違うのは。
 A 文科省は地表から「一〇メートル以上」か、「屋上から三メートル以上」との指針を示しているけれど、強制力はないからだ。
 Q 同じ高さで測らないと、都道府県ごとの比較はできないのでは。
 A 専門家には、他の地点と比較するには高さをそろえた方が良いとする意見がある。でも、文科省は「各地点間の比較を目的としていない。継続して測定することで平常値を記録し、原発事故などが起きたとき、いかに平常値より高いか把握することで、放射性物質への対処法を考えることが目的だ」と説明している。
 Q 「一〇メートル以上」で人体への影響は分かるの。
 A 人間の体の中心である地表一メートルほどで測定するのが望ましいとする専門家もいる。茨城、栃木、群馬、神奈川県の四県ではモニタリングポストより簡易な機器を使い、地表一メートル以下の地点で独自に観測を始めている。
◆研究者 都内の独自測定
 原子力の研究者を中心にした有志が、地表からの高さを原則一メートルに統一し、全国で独自に放射線量を計測している。東京・新宿では、文科省が公表する高さ十八メートル地点のモニタリングポストの数値に比べ、二倍に迫る値が検出されている。
 発起人の近畿大原子力研究所の若林源一郎講師は「原発事故を受け、実際に生活空間にどのような影響があるかをきちんと調べ、判断材料を提供するべきだと思った」と狙いを話す。
 有志は研究者や原子力関連のNPOなどで、いずれも放射線量の計測経験がある人ら。三月末から計測を開始。三十都道府県で随時、放射線量をホームページ(HP)に掲載している。これまで延べ百五十人が計測に携わった。
 計測結果は、文科省が公表する数値よりも高めだ。新宿区西新宿の観測地点ではHPに掲載した最新の二十日の数値が毎時〇・〇〇〇一一ミリシーベルトで、同省が同日公表した新宿区百人町のモニタリングポストの数値(毎時〇・〇〇〇〇六三ミリシーベルト)の一・七四倍。五月に実施した九回の計測値は同省より一・五六〜一・九三倍高かった。
 有志による都内での計測地点は二十カ所に及ぶ。新宿と同程度の数値になる調査地点が多いが、高い数値が出る傾向にあるのが葛飾区内。二十一日には毎時〇・〇〇〇三四八ミリシーベルトを検出した。
 若林さんは、計測結果について「放射性物質は空気中のちりに乗って地表に降ってくるので、地表に近づけば放射線量も増える。ただ、いずれの値も健康には影響がなく、自然界でも普通に検出されるレベルなので心配ない」と分析した。》(東京新聞
高いところ(地表から「一〇メートル以上」か、「屋上から三メートル以上」)で測れと文科省が指針を出していたという。
今は、どこが線量が高いか低いかを知りたいのだから、高さをそろえて、比較できるようにするのが当然ではないか。
情報をきちんと開示しなければ、これからますます必要になる被災地住民の協力が得られなくなる。しっかり対応してほしい