圧制下の同胞を見殺しにするな!

このかん、原発問題に集中してきたが、このニュースはぜひみなさんにお知らせしたい。
脱北者を保護するなという中国の圧力に日本が屈したらしい。
以下は北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会の三浦小太郎さんの文章。
http://hrnk.trycomp.net/news.php?eid=00592
NEWS :脱北者保護、打ち切りか?日本の外交的敗北 2011-05-23 07:12
脱北者保護、打ち切りか…中国の要求に「留意」
 【瀋陽=比嘉清太】中国遼寧省瀋陽の日本総領事館で約2年〜2年8か月間足止めされ、このほど来日した脱北者5人の移送に際し、日本側が「今後は脱北者を保護しない」とする中国側の要求を事実上受け入れていたことが17日、明らかになった。
 実際に日本が新たな保護要請を拒んだケースも発覚。今回が中国国内の日本公館から来日する「最後の脱北者」になりそうだ。
 中国では2002年、在瀋陽日本総領事館で起きた駆け込み事件以後、同種のケースが各公館で続発。中国側の警備が強化されたため、08〜09年に保護された今回の5人を含め、日本側が外部で脱北者接触し、車両で館内に連れ込む方法が定着した。
 だが、中国は08年の北京五輪を前に、治安対策から日本側のこうした手法に反発。それまで数か月程度だった中国での足止め期間を、長期化させるようになった。関係筋によると、今回は、中国側が「今後は脱北者を保護しない」ことを確約するよう文書の提出を求め、日本側が「(中国側の主張に)留意する」と応じ、3月下旬、出国許可が下りた。
 また、ほぼ同時期、ある脱北者が中国国内の日本公館に保護を求めたが、「今は難しい」と断られた。日本政府が5人の出国に影響が出ることを心配したためとみられるが、今後も、脱北者日本国籍を持つ場合や、中国側の警備をくぐり抜けて館内に入り込むなど特殊なケースを除いて保護を控える見通しだ。支援団体の関係者は、「これからは中国を出国した後、東南アジア経由で日本を目指す脱北者が増えるだろう」とみている。
 一方、中韓関係筋によると、瀋陽などの韓国公館では現在、少なくとも十数人の脱北者が足止めされている。ただ、「これまで2万人以上の脱北者を受け入れている韓国が、日本のように妥協する可能性は低い」(外交筋)とされる。
(2011年5月18日10時14分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110518-OYT1T00325.htm?from=main5
北朝鮮難民救援基金のホームページを見ていただければわかりますが、かの団体は逮捕者を出しながらも、懸命に脱北者保護を行ってきました。90年代の活動時は、領事館で保護することはできず、まさに危険を犯しながら中国を脱出させ第3国を通じて救援、保護を行なってきました。そして、瀋陽領事館の脱北者駆け込み映像が世界を巡り、中国も姿勢を変化せざるを得なくなり、日本外務省の心ある方々の努力もあって、日本領事館が保護と日本受け入れの窓口になったのです。
この救援ルートが今閉ざされようとしています。私の推測ですが、外務省は二度と受け入れないという明言はしていないでしょうし、記録も残してはいないでしょう。しかし、これまで以上に中国側の姿勢が強固になり、また保護されてもいつ日本にこれるか分からないとなれば、救援団体としては別ルートを考えるしかなくなります。勿論基金はその様な実力を持ってはいますけれども、たとえば年老いた日本人妻が、果たして長期の中国を越えるまでの移動に耐えられるかといえば、若い人よりははるかに難しいでしょう。
これは一ルートを失うことではなく、日本の外交的敗北です。これは外務省の責任よりも、はるかに、日本政府の責任です。外務省は政府からの強力な意志表明がなければ、よかれ悪しかれ解決のための現実的交渉しかできません。日本政府がこの脱北者問題について充分な認識を持っていないこと、中国に対する強い姿勢を取れないことがこのような結果につながるのであり、また、国会議員や政府に実態を伝え動かすことができないのは、私達運動家の側の責も認めなければなりません。
ここで記事になっている脱北者の方とはあるところでお会いいたしました。一人は日本語も領事館で一生懸命勉強し、とても叮嚀な日本語で、実際には何もしていない私にお礼の言葉をかけてくださいました。日本政府がこのような難民の立場に立つのか、彼らを捉えて北朝鮮に送還する中国共産と政府の立場に立つのか、日本国民として私は前者を選んでほしいと思わずにはいられません。
(以下略)
「守る会」は、2003年2月、北朝鮮を脱出し、中国の延吉に身を潜めていた日本人妻とその娘を救援したが、そのとき中国に飛んだ三浦さんに私も同行し、取材させてもらった。
「守る会」の要請で、日本の外務省は、瀋陽領事館から二人がいた延吉まで車を出して、すばやく身柄を保護した。
(この経緯はhttp://www.jin-net.co.jp/houdou.htm
もし、領事館の保護が受けられなくなるなら、日本人妻や帰国者たちは、中国を縦断して東南アジアへと向かわざるを得ない。途中で中国当局に捕まり、北朝鮮に強制送還される危険はずっと大きくなる。
さらに、こうした事情が北朝鮮にも伝わり、脱北をあきらめ、餓死する家族もあろう。
まさに命にかかわる人道問題である。
日本に保護を求める人々を一人も見殺しにしない。国家への信頼は、こういうところに根拠を持つのである。
中国首相と一緒に福島産のサクランボを食べて友好を演出するだけでなく、譲れないことについては厳しく要求すべきだ。