人権法そして民間人登用

民主党政権の対北朝鮮姿勢に関して、二つの相反するニュースが流れた。
一つは産経新聞(17日)
北朝鮮人権法改正へ 脱北者を「難民並み」扱いで受け入れ
《政府・民主党は16日、北朝鮮を脱出した「脱北者」支援を盛り込んだ北朝鮮人権法を改正する検討に入った。脱北者を「難民並み」に位置づけることで日本での受け入れ条件を緩和する。北朝鮮情報の収集態勢を強化する狙いもある。
 中井洽国家公安委員長拉致問題担当相は4日の参院決算委員会で、同法が脱北者支援の点で「いびつな法案になっている」との認識を示した上で「各省庁と連携してこの枠を取り払いたい」と法改正の意向を表明した。政務三役や衆院拉致問題特別委員会幹部らが超党派での議員立法で改正の検討を進めている。
 具体的には、現行法の脱北者支援のうち、日本への入国や定住がよりスムーズになるよう「条約難民並みに」要件を緩和する。民主党は政策集「INDEX2009」で、先進国中で特に厳格とされる難民認定の緩和を打ち出しているほか、中井氏は拉致問題対策の柱の一つに情報収集態勢の強化を打ち出しており、脱北者からの情報を拉致問題解決に役立てる考えだ。》
かねてより、早く脱北者受け入れ態勢を整備してほしいと思ってきたので、この動きには期待したい。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20081130
日本を含む周辺国が脱北者を難民として扱い受け入れるという情報が北朝鮮内部に広がっていけば、人民の体制への忠誠心を削ぐ大きな材料になる。さらに将来、中国がUNHCR脱北者接触させ、難民認定をはじめたらば、もうこれは1989年に東ドイツ人がハンガリー国境から堰を切ったように西に逃れた、あのベルリンの壁崩壊現象が北朝鮮に起きることになるだろう。
そして、次は17日の朝日新聞
民間人登用案2カ月近く放置 拉致問題対策本部 
北朝鮮による拉致問題の情報収集強化を狙い、政府の拉致問題対策本部に民間の専門家を登用する人事案が2カ月近く、決裁されずに放置されていることが、政府関係者の話でわかった。中井洽拉致問題担当相の人事案に脱北者支援の活動家が含まれ、政府内に中国政府の反発を懸念する声があるためという。
 政府関係者によると、人事案は中井氏の指示を受けて対策本部事務局が作業。昨年12月中旬、「北朝鮮難民救援基金」の加藤博理事長ら3人を、大臣直属の参与とする案を固めた。加藤氏は北朝鮮の難民支援に取り組んでおり、北朝鮮内の情勢に精通。事務局の情報室と連携し、情報収集を行う予定だった。
 しかし平野博文官房長官が決裁を保留。加藤氏は2002年に中国で「北朝鮮住民の不法入国を助けた」として公安当局に一時身柄を拘束されており、政府内に中国側の反発への懸念が出たためだ。
 政府は昨年10月、安倍晋三内閣の下で設置された拉致問題対策本部を廃止し、新たな対策本部(本部長・鳩山由紀夫首相)を設置した。中井氏は「自民政権では、情報収集の面で機能していなかった」と批判。事務局の人員増と民間専門家の登用で、拉致被害者北朝鮮国内の情報収集を強化する方針を打ち出した。
 2010年度予算案は、費用を前年度比4倍の8億6400万円に増額。ただ、具体的な方策は固まっていない。》
いま日本にいる脱北者の中には、北朝鮮で、重要な情報にアクセスできた人がいる。ロイヤルファミリーに関する情報を持つ人もいる。だが、政府は脱北者が入国しても、ろくな事情聴取をしてこなかった。
対策本部が民間人を登用すると聞き、その中に加藤さんの名前が挙がっていると知って、民主党はなかなかやるなと期待していた。加藤さんは日本にいるおよそ約200名の脱北者のうち半数近くの逃亡を援助してきたとされる。
ところが、このプラン、中国への配慮で「放置」されているという。
北朝鮮政策についても、民主党は腰がふらついているのか。